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リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
<白星発進も…> 固定給は半額以下、驚きのダニ・アウベス復帰…シャビのバルサ監督就任は「勇敢な行為」なのか?
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byGetty Images
posted2021/11/23 06:00
窮地のバルサを救うべく監督に就任したシャビは、エスパニョール戦で初采配を振るい見事に勝利をもたらした
シャビ監督の手腕を楽しみにしていた人たちからは「もっと良い状況下で監督を始めてもらいたかった」という声が聞こえてくる。
一般紙にコラムを連載している元レアル・マドリー監督のホルヘ・バルダーノは、監督を引き受けたことを「勇敢な行為」とさえ書いている。
それでもシャビは帰ってきた。大変な課題だけでなく、固定給がアルサッドでもらっていた額の半分以下になることも飲んで。
誰もが驚いたダニエウ・アウベスの再加入
11月8日、クラブがカンプノウを開放して新監督の御披露目を実施すると、平日にもかかわらず9422人ものソシオやサポーターが詰めかけた。
シャビとともに夢と希望が戻ってきたからだ。
「どこが相手であろうと攻める。相手の出方をうかがったりせず、激しく積極的にゴールチャンスを作りに行く。それがバルサのDNAだ」
「ハードルを高く置き、練習には全力で取り組ませ、僕らスタッフのアイデアを叩き込む。負けても引き分けてもダメ。僕はそう教わってきた」
「大事なのはフォーメーションではなく、どう攻めて、どう守るか」
「クライフの教えどおり、僕のチームではFWが最初の守備者、GKが最初のアタッカーになる」
シャビの予想どおりの所信表明は皆を安心させた。しかし、彼が続いて下した判断には誰もが驚いた。
ダニエウ・アウベス再加入である。
9月にサンパウロとの契約を解除したアウベスは「バルサの力になりたい」とクーマン解任前からラポルタに売り込みをかけていた。そこでシャビが監督となり、当人から電話をもらったという。
エスパニョールを下し、初陣を飾る
リーガ1部の最低賃金(年俸で15万5000ユーロ/約2000万円)で復帰を果たした38歳のアウベスに与えられる役割は、右SBでのプレーより、貪欲に勝利を求める姿勢や勝者の気構えを若手に示す役目と見られている。だが、シャビの頭には意外な戦術的アイデアがあるのかもしれない。サンパウロ時代のような中盤での起用も十分あり得る。
シャビは代表組を加えた初の全体練習後にクラブのトップチーム担当とミーティングを行い、ピケ、アルバ、ブスケッツら年長者の出場を週1回に留める代わりに、エリック・ガルシア、バルデ、二コに大役を務めさせる大胆な考えを伝えている。
11月20日に行われたエスパニョールとのバルセロナ・ダービーは、デパイのPKにより1-0の勝利。シャビは無事、愛するクラブでの初陣を飾った。
良い意味で何が起こるか分からない。だから心が躍る。バルサのサポーターにとって、こんな状況は本当に久しぶりのことだろう。