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レスリング界の結婚ラッシュは変化の兆し? 金メダリスト川井梨紗子が語る「恋愛と競技」の関係性《11月22日はいい夫婦の日》
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byGetty Images
posted2021/11/22 11:00
東京オリンピック女子58kg級で金メダルを獲得した川井梨紗子。オリンピック後の8月27日に結婚を発表した
至学館大を卒業しジャパンビバレッジに入社した後、川井は「金城さんとお付き合いしています」とハッキリと伝えたが、同社の金浜良コーチは「練習さえしっかりやってくれたら何の問題もない。レスリングをやるときにはレスリングをしっかりやり、遊ぶときにはしっかり遊ぶ。そういう考えでいいので、堂々としていなさい」と背中を押してくれた。
金浜コーチの理解もあり、川井は周囲に金城さんとの交際を隠すこともなかった。
「そういう姿勢でやっていて、結果を残すこともできた。自分の割り切り方は間違っていなかったと思います」
レスリング界にも「新しい波」はやってくるのか
川井には「私がきっかけになれば」という思いもある。
「結婚しても続けられるという見方になれば、(既婚者として)やる人も増えると思う。それに、子供が生まれたあとも現役を続けていたら純粋にカッコいいじゃないですか」
東京オリンピックでは、陸上女子の100メートル障害の寺田明日香や、バレーボール女子日本代表で最多となる五輪4大会連続出場の荒木絵里香が子供のいる選手として話題になった。遅ればせながら、そうした波がレスリングにもやってくるのか。
「レスリングもそういうふうになったらいいと思います。変わってくるのかなと思う」
東京やリオでのメダリストが、会場に子供を連れてくる。そして子供は子供で遊ぶ傍らで、打ち込みに励む。今まで想像もできなかった場面だが、近い将来具現化しても不思議ではない。
そんな未来の想像図を向けると、川井は幸せそうにフフフッと笑いながら「そうなったらうれしい」と語った。
「頑張っている証拠じゃん」夫の言葉に救われる
ある指導者は五輪メダリストと結婚した夫の共通項として「やさしい人柄で、彼女たちの意見や主張をしっかりと受け止めてくれる人が多い」と分析する。金城さんの写真を見たら、確かにやさしさが滲み出ているではないか。川井に確認すると、「本当にやさしいし、いまどきこんな人がいるのかと思うくらい真面目な人」とのろけた。