オリンピックPRESSBACK NUMBER
レスリング界の結婚ラッシュは変化の兆し? 金メダリスト川井梨紗子が語る「恋愛と競技」の関係性《11月22日はいい夫婦の日》
posted2021/11/22 11:00
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Getty Images
11月22日は、いい夫婦の日。東京オリンピックで4つの金メダルを獲得した日本女子レスリング界ではめでたい話が続く。
東京大会後、川井梨紗子と土性沙羅が相次いで結婚を発表した。57kg級で優勝した川井のお相手は沖縄県出身で、全日本選手権で3位入賞の実績を持つ金城希龍さん。一方、五輪連覇を逸した68kg級の土性のパートナーは「陸上競技をやっていた大学時代の同級生」といわれている。
川井や土性だけではない。53kg級の金メダリストである向田真優も、一昨年秋に婚約していた志土地翔大コーチと東京オリンピック後にめでたく籍を入れた。
リオデジャネイロ・オリンピック女子48kg級金メダリストの登坂絵莉は、8月10日に長男を出産した。昨年8月に結婚した夫はレスリングの元全日本王者で、現在は総合格闘家としてRIZINにも参戦する倉本一真だ。
「恋愛は恋愛、レスリングはレスリング」
それにしても、なぜこのタイミングでの結婚や出産が続いたのか。川井は「東京オリンピックが終わったら発表することは決めていました」と打ち明ける。「オリンピックで一区切りでないですけど、発表するなら終わったあとの方がいいじゃないですか。あとは年齢的なものもあるかもしれない。だいたいの人はそうなのかなと思います」
これまで既婚者としてオリンピックに出場した女子レスリングの日本代表は、ロンドン五輪48kg級で優勝した小原(旧姓・坂本)日登美と、東京五輪76kg級で5位に入賞した皆川(旧姓・鈴木)博恵の2名のみ。伊調馨や吉田沙保里が全盛の頃には「女子の日本代表は独身が望ましい」という不文律があったことは否定できないので、隔世の感がある。対照的に海外では当時から既婚者レスラーや子供のいるレスラーが当たり前のようにいただけに、川井は「日本も、いつかはそうなるだろう」と期待していた。
「でも、なかなかそういう雰囲気にはならないだろうなとも思っていました」
いまでも競技生活と恋愛は両立しないと考える人はいる。実際、筆者は恋愛が原因で競技から離れた選手も知っている。川井は「その人の性格にもよる」と分析する。「恋愛がうまくいかなかったら、練習に身が入らない人もいる。個人的には、恋愛は恋愛、レスリングはレスリングと割り切れば、全然問題ないと思います」