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宮本慎也も鳥谷敬も…「ショート30代半ばで限界説」33歳になる“巨人史上最高の遊撃手”坂本勇人は限界突破できるか?

posted2021/11/19 17:10

 
宮本慎也も鳥谷敬も…「ショート30代半ばで限界説」33歳になる“巨人史上最高の遊撃手”坂本勇人は限界突破できるか?<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

2006年高校生ドラフト会議、繰り上げ1位で巨人から指名された坂本勇人。12月に33歳の誕生日を迎える

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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Sankei Shimbun

 惜敗じゃなく、惨敗だ。

 クライマックスシリーズ最終ステージ。原巨人はヤクルト相手に連敗を喫し、崖っぷちの第3戦も2対2で引き分けて、あっけなく終戦した。しかも、第4戦の予告先発は一軍通算229登板すべて救援登板の高木京介と発表されていた。奇襲というか、京介。幻のプロ初先発。決して余力を残して負けたわけじゃない。要は投手運用が完全に破綻し、4番・岡本和真を故障で欠いた打線も最終ステージ3試合でわずか2得点と貧打に喘いでの完敗である。

 そして、同時に今季限りの現役引退を表明していた亀井善行の17年間の選手生活も終わりを告げた。さらば青春、こんにちは僕らの未来。これで巨人の生え抜き最年長は12月で33歳になる坂本勇人となった。時の流れは早い。“ジャイアンツの末っ子”のような立ち位置で十代で颯爽とデビューした若者が、すっかり主将の顔である。

 だが、このポストシーズンの背番号6は精彩を欠くプレーが続いた。阪神を破った甲子園から打撃の状態は最後まで上がらず、17打数2安打の打率.118、1打点、本塁打なし。守っては神宮第2戦の6回裏にイージーな悪送球でピンチを招き、結果的に4失点のきっかけを作ってしまった。その状態がチーム状況に直結する。ペナントでは負担や重圧をワリカンできていた岡本がいないと、すべては坂本次第。やはり、今の原巨人は“坂本のチーム”なのである。

「巨人はいつまでショート坂本勇人で戦えるだろうか?」

 同時にふと思った。「巨人はいつまでショート坂本勇人で戦えるだろうか?」と――。

 プロ15年目の今季は序盤に右手親指骨折で約1カ月の離脱があったが、117試合で打率.271、19本塁打、46打点、OPS.826。守備率.991はリーグ遊撃手1位で、守備指標も安定して高く、失策数もわずか4つだ。東京五輪では日本代表の正遊撃手として金メダル獲得に貢献、大会ベストナインにも選出された。昨季は右打者としては最年少で通算2000安打を達成。今季も過去に13人しかいない通算400二塁打を32歳9カ月の史上最年少で記録した。

 もはや築くキャリアが、令和のプロ野球史そのものだ。そんな“スペシャル・ワン”も2022年は、33歳から34歳になるシーズンを迎える。過去の名ショートストップたちは30代中盤を迎えたあたりから、体の負担を考え、または脚や肩の微妙な衰えから他ポジションで起用されるケースも多い。どんなスーパースターやアイドルも永遠ではない。人間、誰しも年を取る。坂本も十代から試合に出続けた勤続疲労に持病の腰痛とはもう長い付き合いだ。とは言っても、40発を放ちMVPに輝いた19年頃と比較するとややピークアウトした感はあるものの、それでもいまだに背番号6は球界屈指の遊撃手である。

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