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シティ撃破のパレスで「ノリノリ」のコナー・ギャラガーは憧れのランパードを彷彿 ファンはレンタル中の21歳と「契約しろ!」と大合唱 

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山中忍

山中忍Shinobu Yamanaka

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posted2021/11/15 17:00

シティ撃破のパレスで「ノリノリ」のコナー・ギャラガーは憧れのランパードを彷彿 ファンはレンタル中の21歳と「契約しろ!」と大合唱<Number Web> photograph by Getty Images

今季チェルシーからのレンタルでクリスタルパレスに加わったギャラガー。高い得点力を示し、ファンの心を掴んでいる

10点満点で8点は与えられるパフォーマンス

  当日のマン・オブ・ザ・マッチは前半6分に先制ゴールを決め、相手CBアイメリック・ラポルトをハーフタイム寸前の退場に追いやるほど苦しませたザハを選ぶ国内メディアが多かった。

 しかし、ビエラ監督が挙げたシティと勝負するためのポイントを、攻守に実行していた代表例はギャラガーに他ならない。

 4-3-3システムの左インサイドハーフで先発。ラポルトに寄せてボールをくすね取り、チームの先制点をアシストしている。88分に勝利を確実にした自らのゴールは、10人でも攻勢に出たシティへのカウンターから奪った得点ではあった。

 とはいえ、自軍ペナルティエリア付近で起点となったのもギャラガー。前線へ繋がれたボールを相手ボックス内でザハがキープする間に駆け上がり、ピッチに投入されたばかりの新加入MFマイケル・オリーズのお膳立てに反応し、ダイレクトシュートでカウンターをフィニッシュした。

 10点満点で8点は与えられるパフォーマンスの中で、個人的には特に、この終盤の得点に興味をそそられる。その翌週には、前述したウルブズ戦でも78分にネットを揺らした。相手選手の身体を経由して入ったゴールだったが、エリアの外で真っ先に反応したクリアボールを胸でトラップし、ボックス内に切り込んで迷わず放ったシュートは、利き足ではない左足でのシュート。このように、得点を狙い続けるフィジカルとメンタル双方での“スタミナ”が、チェルシーでの大先輩に当たるフランク・ランパードを思わせるのだ。

 MFにしてクラブ歴代得点王のランパードは左右両刀でもあったシュートの正確さと同様、ゴールへの貪欲さもセンターハーフとしてはずば抜けていた。

 チェルシーでの最終年となった2013-14シーズンにしても、当時35歳がスタメンとして記録した計8得点のうち3点が80分以降のゴールだった。

ランパードと共通する得点へのこだわりの強さ

 ゴールを目指すスタイルは異なる。早めに前方へパスを送って駆け上がるタイプだったランパードに対し、ギャラガーは自ら持ち上がることを好む。レンジの広いパス能力ではランパードに及ばないが、一瞬の加速でタイトな状況を打開し、そこからドリブルに入る能力はランパードにはなかった持ち味だ。

 得点へのこだわりの強さは共通している。チェルシーの下部組織で育ったギャラガーにとって、ランパードは憧れのヒーローでもあった。当人が「点の取れるMFになりたい」と言っていたのは、アカデミーで2018-19シーズンの年間最優秀選手に選ばれた19歳の夏。翌シーズン前に、奇しくもランパードが監督となったチェルシー1軍のアイルランド遠征に呼ばれた際の発言だが、当時のノートを見返すと、やはり「アイム・バズィング!」と言って喜びを表すギャラガーのコメントがあった。

【次ページ】 ビエラ監督の現役時代のプレーも研究

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