プレミアリーグの時間BACK NUMBER
シティ撃破のパレスで「ノリノリ」のコナー・ギャラガーは憧れのランパードを彷彿 ファンはレンタル中の21歳と「契約しろ!」と大合唱
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2021/11/15 17:00
今季チェルシーからのレンタルでクリスタルパレスに加わったギャラガー。高い得点力を示し、ファンの心を掴んでいる
あれから2年半、2000年生まれの新世代にしてイングランド伝統の「ボックス・トゥ・ボックス型」の魅力を持つ逸材は、修業先での姿を見守る者の胸を期待で膨らませている。2019-20シーズン、初のレンタル先となったチャールトン(現3部)では、監督だった元MFリー・ボウヤーから、2部リーグという大人のピッチでもボックス内を目指すプレーを奨励され、同シーズン後半戦を過ごしたスウォンジー(2部)でもチャンスに絡む働きを求められた。
ビエラ監督の現役時代のプレーも研究
ウェストブロムウィッチで過ごした昨季は、シーズン半ばから指揮を執ったサム・アラダイスの下、残留争いの中で中盤の汗かき屋を任された挙句に降格まで味わったが、1年限定の初体験プレミアで貴重な経験をしたと理解できる。
そして今季、通算4クラブ目のレンタル先のクリスタルパレスでは、再びアタッキングサードで本領を発揮できる環境下で鍛錬を重ねている。しかも、プレミア史上屈指とまで言われる元MFの下で、だ。
アーセナル時代の姿を記憶に留めるには幼すぎたギャラガーは、ビエラが監督となったクリスタルパレスへのレンタルが決まって以降、映像を通して攻守にダイナミックだった名センターハーフのプレーを研究しているという。
また、ビエラ監督からは「積極的にボックス内に顔を出す自由を与えてもらっている」と言ってもいる。指揮官のそんな信頼に対して、数字にも表われる自己表現で応えている若手の最たる例がギャラガーだ。
プレミアでの得点数を、昨季まで攻撃面での負担が大きかったザハと並ぶチーム最多の4得点に伸ばした第11節、クリスタルパレスのファンがレンタル移籍中の新戦力を称えた「契約にこぎ着けろ!」との合唱からは、1軍メンバーとしてチェルシーに戻ってしまう来季を今から覚悟している者たちの、自虐的ユーモアも感じ取れる。
躍動感に溢れ、中盤から90分間相手ゴールを目指すギャラガーの姿には、今季の期待が高まるロンドン南東部のクリスタルパレスの観衆はもちろん、近未来に思いを馳せる市内西部のチェルシーサポーターたちも興奮を覚えずにはいられない。