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ドラフトから1カ月…中日ドラ1・ブライト健太22歳の涙が止まらない「悔しいっす」「自分の青春でいちばん充実した4年間でしたから」
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKYODO
posted2021/11/12 17:10
10月11日のドラフト会議で中日ドラゴンズに1位指名されたブライト健太(上武大4年・外野手)
速球で内をえぐられ、外へ逃げるスライダー。このパターンで攻められて、最後までそのスライダーを追いかけてしまうのを修正できずに、ノーヒットの3三振を喫して終わった。
「悔しいっす」
囲み取材に立った時は、もう目を真っ赤にしていた。
「もっとやれたことがあったんで。今日の負けは、全部自分のせいですから。今日もそうだし、秋は一度もチームに貢献できなかった。こんな形で終わったのが……」
やっとここまで、なんとか言葉にして、あとは涙が止まらない。
「ベンチに……ベンチに入りたかったのに、入れなかった仲間がたくさんいるのに、そういう仲間に、ほんとに申しわけない」
自分を責める言葉ばかりが続く。
注目されて、ちょっと浮かれたところもあったのかな……訊いてみようかと思ったが、この場には残酷すぎる問いだ。
「今日1日じゃ、とっても切り替えられない」
ひとりでしょい込んじゃったんだな。
「上武大は、自分のことを、人としても、野球人としても高めてくれた場所なんで。自分の、自分の青春の中で、いちばん充実した4年間でしたから」
「青春」という言葉を、久しぶりに聞いたような気がした。勝った、負けたはあるけれど、青春を感じられる時間を持てたこと……それ自体、勝った以上の「おめでとう!」だと言いたい。
ちょっと持ち上げ過ぎたかな…でも…
ドラフト前にグラウンドで話を聞いた時は、笑顔しかなかった彼が、今日は涙にくれたまま、囲み取材の輪が解けた。
明日はどうするの?