- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
「ケンカみたいになっちゃって」元日本ハム・西崎幸広が明かす“やりにくかった監督”とは? 栗山政権は評価も「エースが出てこなかった」
text by
元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph bySankei Shimbun
posted2021/11/16 11:04
10年にわたって日本ハムを率いた栗山英樹前監督。その功績と若手が台頭しなかった理由について、西崎幸広氏に語ってもらった
――1年目からローテーション入りし15勝を挙げましたが、初登板は中継ぎでした。
西崎 僕の場合、ローテーション入りが約束されていたわけでもなく、競争して自分のポジションをつかむしかなかったですね。いまなら、大卒のドライチは即ローテーション入りみたいな報道がありますけど。
オープン戦で結果を残して開幕一軍メンバーに入って、中継ぎで抑えたから先発で投げさせてもらった、という流れでした。結果を残すしか、自分でつかみとっていくしかなかった。そういう環境だと選手は強くなりますよね。過保護になりすぎるのはよくない。ある程度は、競争させないと。
――西崎さんは2年目にも15勝を挙げ、その後も16勝、12勝、10勝とふたケタ勝利を続け、エースの地位を確立しました。
西崎 僕は最近のやり方を経験していないから、あのころがよかったかどうかはわかりません。ある程度優遇されたほうが長くプレイできたかもしれないし、逆に早く引退したかもしれない。それはわかりませんね。
“約束を守る”監督は選手から慕われる
――西崎さんにとって、いい監督とは?
西崎 僕にとってはファイターズ時代の大沢啓二監督、西武ライオンズでお世話になった東尾修監督ですね。大沢さんは本当に親分肌で、「何かあったら俺が責任を取ってやる」という方。純粋に「この監督を胴上げしたい」と思いました。東尾さんは「ニシ、お前に全部任せるから」と言って、好きにやらせてもらいました。信頼できる監督でした。
――逆に、やりにくかった監督は?
西崎 土橋正幸さんですね。投手陣を代表して、先発投手は登板翌日をオフにしてほしいとお願いして、一度は了解してもらったんですよ、「7回2失点以内に抑えたら」という条件付きで。
でも、僕が8回2失点で抑えた試合のあとに確認しにいったら「何、言ってんだ!今日の試合は負けたじゃないか!」と怒られて……。約束が違うから、ケンカみたいになっちゃってね。僕だけじゃなくてほかの選手にも影響のあることだったので、こちらも熱くなって。約束をしっかりと守ってくれる監督は選手から慕われるんでしょうけど。