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落合博満「努力とか大嫌いさ、あんなの」「1600万円しかもらってませんから」 ロッテ時代の強烈な《三冠王語録》の真意
posted2021/11/08 11:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kyodo News
<名言1>
野球選手というのは、成績とか、タイトルを幾つ取ったかで評価されるもんじゃない。お金で評価されるんです。
(落合博満/Number66号 1982年12月20日発売)
◇解説◇
天才かつ異能のスラッガー、落合がNumberの初インタビューに応じたのは、約40年前の1982年のこと。高校・大学・社会人と紆余曲折ありながら、プロ4年目28歳で史上最年少での三冠王に輝いたタイミングだった。
「ぼくは初対面のヒトと話をするのは、すごく苦手なんだなあ。シーズン中も、試合前は顔見知りの記者さん以外とは話さないくらい。人見知りをするタチなんです」
「82年は1600万円しかもらってませんからね」
落合には、当時から「豪放磊落」「あけっぴろげで人を食ったような発言を口にする」というパブリックイメージがあったという。ただ落合はこの取材において、野球に対しての独自の思考法を打ち明けてくれている。その1つの例が、年俸についてだ。聞き手がオフの契約更改について水を向けたところ……。
「82年は1600万円しかもらってませんからね。納得できる線までは大いに要求していきます」
今も昔も、新聞などが報じる金額には「推定年俸」という但し書きがある。しかし落合は当時から、年収をハッキリと口にしていたのだ。
「いいじゃないですか。どうせ、みなさん、知ってることなんだから。推定なんて言う方が奇妙なんですよ」
このように落合らしい“オレ流”語録が連続するわけだが――そこには「金額」というものがプロ野球選手としてのステイタス、という信念があったからこそだった。
「タイトルが1つ、2つあっても、もっと年俸の高い選手がいたら、そっちのほうが野球がうまいということになる」