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【RIZIN】牛久絢太郎が王者・斎藤を“飛びヒザTKO”で衝撃の戴冠…マッチメイク「白紙」の大晦日、朝倉未来の対戦相手は誰になるのか?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byRIZIN FF Susumu Nagao
posted2021/11/02 11:01
『RIZIN.31』メインで牛久絢太郎の飛びヒザ蹴りがヒット、ベルトを手放した斎藤裕。大晦日のマッチメイクの行方は…
白川陸斗は3連勝、中村大介41歳は「全盛期」
そのシャッフル状態を生み出したのはメインイベントだけではない。この大会で組まれた他のフェザー級マッチも大きなインパクトを残している。
朝倉兄弟と同門であり、『THE OUTSIDER』出身という点も共通する白川陸斗は山本琢也をKO。パンチの打ち合いから、山本が倒れたところに顔面を蹴り上げるという迫力十分のフィニッシュだった。試合後の白川はヴガール・ケラモフとの対戦をアピール。ケラモフは斎藤を苦戦させたアゼルバイジャンのファイターだ。
「ケラモフとやってトップ戦線に絡んでいきたい」
山本戦の勝利に、それだけの手応えがあったわけだ。白川はこれでRIZIN3連勝と上り調子。一方、ベテランも存在感を発揮した。
得意の腕ひしぎ十字固めで鮮やかな一本勝ちを収めた中村大介は41歳。スタンドで腕を取り、これを嫌った新居すぐるに投げられざま十字の体勢へ。「腕の取り合いならまだまだ負けない。錆び付いてないですね」と会心の表情だ。リング上では「41歳、ここからが全盛期」とも。
記者会見、試合後のマイクともに第一声は「プロレスリング・ノア、杉浦軍の中村大介です」。プロレスラーとして活動し、UWFへのこだわりも強い。入場時につけていたレガース(レッグガード)を、試合直後にすぐつけ直した。ショートタイツにレガースはUWF戦士の“正装”だ。
38歳の金原正徳を動かした、所英男の「背中」
38歳の金原正徳は1年8カ月ぶりのMMAマッチで芦田崇宏をKOした。1ラウンドはテイクダウンに成功し、カウンターのヒザ蹴りも効かせる。完全には決まらなかったが、グラウンドでは肩固めも見せた。その上で2ラウンド、パンチでダウンさせてのパウンド連打で勝利。さまざまな角度から相手を追い込み、想定とは違った距離感に対応することにも成功した。自分の「引き出し」を確認できる勝利だったという。
昨年、RIZIN初参戦で手痛い敗北を喫し、試合後に引退を示唆するコメントを残していた金原。カムバックの裏側には同時代を生き抜いてきたベテラン、所英男の「背中」があったという。所は昨年大晦日、43歳でRIZINのリングに上がり五輪メダリストの太田忍に一本勝ちしている。金原はそのセコンドについていた。
「大晦日にあんな試合見せられて“金原さんまたやりましょうよ”って言われたら、口では“俺もういいよ”って言いながらも心が動きますよね」
“時間”を味方につけることができるのもベテランの強みだ。彼らには格闘技界で生きてきた歴史があり、それがドラマとなる。選手としての個性に厚みをもたらしもする。