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バイクとライダー速いのはどっち!? MotoGP新王者クアルタラロが少数派の並列4気筒、ヤマハYZR−M1で勝てたワケ
posted2021/10/31 17:01
text by
遠藤智Satoshi Endo
photograph by
Satoshi Endo
10月24日、イタリアのミサノ・ワールド・サーキット・マルコ・シモンチェリで開催された第16戦エミリア=ロマーニャGPで、ヤマハのファビオ・クアルタラロが新チャンピオンに輝いた。
タイトル決定を阻止しようと、ドゥカティに乗る総合2位のフランチェスコ・バニャイアがレース終盤までリードしたが、転倒しリタイア。その瞬間、バニャイアに65点差をつけてタイトル王手だったクアルタラロのチャンピオンが決定した。タイトルを獲得したクアルタラロは、その後熾烈な3位争いを繰り広げたが、最後は4位でチェッカーを受けてチャンピオン獲得のレースを締めくくった。
クアルタラロはMotoGP3年目の22歳。シーズン序盤に右腕の腕上がりの手術を受けるなど不安要素もあったが、シーズン前半は9戦して4勝、6回の表彰台獲得でチャンピオン街道を突き進んだ。後半戦は確実なレース運びに転じ、第15戦アメリカズGPの時点で5勝10回目の表彰台を獲得してタイトル王手を掛けていた。
そして迎えたエミリア=ロマーニャGPは、不安定な天候が続いた。ウエットからドライへと変化した予選では、「難しい路面コンディションでリスクは負わなかった」とMotoGPにデビューしてからワーストグリッドとなる15番手。一方、総合2位につけホームGPで今季3勝目を目指したバニャイアは「いまやれることは勝つことだけ」と全力走でPPを獲得していた。まさに、「追う側と追われる側の二人の精神状態が手に取るようにわかる」予選結果だった。
泣きまくりの新王者
それにしても、チェッカーを受けてからのクアルタラロは、予想していた通り、泣きに泣いた。タイトルをつけるなら「泣き虫クアルタラロがタイトルを決めて大泣き」という泣きっぷりで、クアルタラロにとっては人生最高の瞬間になった。