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《選手間投票MVP》大谷翔平の「勝ちたい」発言は“移籍志願”ではない…OB高橋尚成が語る〈エンゼルス地区優勝の可能性〉 

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高橋尚成

高橋尚成Hisanori Takahashi

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posted2021/10/29 17:06

《選手間投票MVP》大谷翔平の「勝ちたい」発言は“移籍志願”ではない…OB高橋尚成が語る〈エンゼルス地区優勝の可能性〉<Number Web> photograph by Getty Images

コミッショナー特別表彰の授与はMLB全体でも2014年のデレク・ジーター(ヤンキース)、ビン・スカリー(アナウンサー)以来7年ぶり。現コミッショナーのロブ・マンフレッド体制となってからは初の快挙だ

 ドラフトで20巡目まで全員投手を指名したように、さすがにフロントも投手陣が穴であることはわかっているはずなんですけどね……。安定した先発が大谷以外であと2人は必要です。それをFAで補強するのか、それとも気長に若い選手を使っていくのか。でも、大谷、トラウト、レンドンの3人がいて優勝を狙えないわけがないと思うんですよ。プレーオフ進出を諦めて、育成にシフトしているチームとはわけが違う。せっかく素晴らしい打者が揃っているのだから、もう少しバランスよくチームを編成してほしいです。

 今年は残念ながらトラウトとレンドンが怪我をしてしまいましたが、ジョー・アデルやブランドン・マーシュのようなイキのいい若手が出てくること自体はチームにとってすごくいいことです。彼らが活躍することでチーム力は上がっていく。でも、なぜだかわかりませんがピッチャーが出てこない(笑)。キャンプを見ていると、いい球を投げている選手はいるんですよ。若手のグリフィン・キャニングやホセ・スアレスあたりが先発ローテを守れるくらい一本立ちできれば、そのあたりも変わってくると思うんですが……。

打線だけなら全30球団でトップ5に入る

 先発だけでなく、ブルペン陣もかなり貧弱な印象です。せっかく先発がある程度試合を作っても、終盤にゴチャゴチャになってしまう試合が今年はかなり多かった。現状、ライセル・イグレシアスがクローザーを務めていますが、彼がセットアッパーに回るくらいの戦力になるのが理想です。現代の野球は、ブルペンの質がそのままチームの強弱につながってしまう。短いスパンで結果を出すためには、先発はもちろん、リリーフ陣の整備にもコストをかけなければいけないでしょうね。

 逆に言えば、投手陣さえしっかりと補強できれば、地区優勝を争えるポテンシャルは間違いなくあるはずです。もちろんアストロズは強いですが、野手だけを見ればエンゼルスも匹敵するくらいのレベルにあります。大谷、トラウト、レンドンの3人が怪我なく主軸として回っていけば、脇を固めるデービッド・フレッチャーやジャレッド・ウォルシュ、若手のマーシュやアデルといった選手ものびのびと自分たちの役割に徹することができますから。

 トラウトにしてもレンドンにしても、今年は不本意なシーズンになりましたが、年齢的にもこのままで終わるわけがない。その2人が復活して、大谷が今年くらいの活躍をしたら、打線だけを見れば全30球団の中でもトップ5には入るんじゃないですか。なにせMVPを取れるようなクラスの選手が3人もいるわけですから。ホームランを打てる人がいて、高打率を残せる人がいて、打点を稼げる人もいる。しっかりと機能すれば、素晴らしく爆発力のある打線だと思いませんか?

【次ページ】 やはり大谷にはエンゼルスのユニフォームが似合う?

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