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山本由伸の「おっきい理想」、ラオウ覚醒は“後輩”吉田正尚のおかげ? 混戦パ制したオリックス戦士の言葉《仰木政権以来の日本一へ》
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKYODO
posted2021/10/28 11:04
ロッテが敗れたことで25年ぶりのリーグ優勝が決まったオリックス。試合はなかったが、京セラドームで中嶋監督の胴上げが行われた
<名言3>
教えるわけないじゃないですか(笑)
(山本由伸/Number1023号 2021年3月18日発売)
◇解説◇
シーズン18勝。優勝争いを続ける中で記録した球団初の15連勝。そして史上8人目となる投手5冠(勝利数・防御率・奪三振数・勝率・完封)の達成も決定的。かつての大エースたちと肩を並べる山本は、いまや球界のエースと言っても過言ではない。
その飛躍の要因は誰もが探るところが、山本は年々多くを語らないようになってきた。178cm・80kgという決して大柄ではない身体から豪速球を生まれるトレーニングを問うも、明確な回答は避けている。
秘密、にするのには理由がある。1つは性格。
「別に隠しているわけじゃないんですけど、自然とそうなっちゃってます。そういう性格です。別に、『これやってるよー』って、みんなに言うものじゃないなと思うので」
「やってるアピールはあんまりしたくない。そりゃやってるのはやっていますけど、当たり前のことなので」
もう1つは、情報が誤った方向に伝えらえること。それは野球界のこれからを担う金の卵たちへの思いがある。
「練習方法にしても、ちゃんと伝えないと、正しくできないので。見よう見まねで真似をするのもいいんですけど、それで怪我をする人もたぶんいると思う。やっぱり発言の力とかもちょっとあると思うので、だから安易に言えない。言うことには責任があるので。直接話せるならちゃんと伝えられますけど、そうじゃないですから」
23歳が背負うものの大きさと、その自覚が垣間見える言葉だ。
一方で、内に秘める野望も大きい。
「僕の中にはすごくおっきい理想があるので、そこにひたすら向かっていっている。ただそれだけです」
おっきい理想とは?
「教えるわけないじゃないですか(笑)」
秘密が明かされるのはもう少し先のこと。山本は我々の見る世界よりもずっとずっと先を見据えている。