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《ヤクルト優勝の裏で熱いタイトル争い》鈴木誠也と首位打者バトル… カープ坂倉将吾23歳が「打てる捕手」に大化け
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2021/10/27 11:03
カープ坂倉将吾は鈴木誠也との首位打者争いで成長を遂げている
ただ広島には曾澤翼という、2017年から3年連続でベストナインに輝く絶対的な正捕手がいた。そのため、坂倉は打撃を活かすために一塁も守るようになった。しかし、これはこれで松山竜平や堂林翔太らと競合するために、チームにとっては悩ましい事態だった。
さらに言えば、坂倉は捕手としても凡庸ではなかった。俊敏なキャッチングやリードでも投手の信頼が篤いからだ。
首位打者に躍り出て以降、打率が乱高下も……
今年になって、天理大から2020年ドラフト5位で入団した石原貴規も抜群の強肩で台頭した。広島は曾澤、坂倉、石原と他球団なら正捕手が務まる3人の捕手が交互にマスクをかぶる状況となり、坂倉は捕手として60試合、一塁で61試合に出場している。
そんな坂倉の打棒は「打撃のいい捕手」のレベルにとどまらず、「リーグ屈指の強打者」へと急成長した。9月7日には、規定打席に到達。DeNAのオースティンを抜いていきなり首位打者に躍り出たのだ。
ただしそれ以降、坂倉の打率は乱高下を繰り返す。以下は9月7日に首位打者に躍り出てからの週間の打撃成績と、シーズン通算打率(順位)。
9月12日時点 週間23打4安 率.174 通算.317 (2)
9月19日時点 週間21打2安 率.095 通算.303 (4)
9月26日時点 週間23打5安 率.217 通算.297 (6)
10月3日時点 週間22打10安 率.455 通算.306 (3)
10月10日時点 週間19打12安 率.632 通算.323 (1)
10月17日時点 週間18打0安 率.000 通算.308 (3)
10月25日時点 週間15打7安 率.467 通算.314 (2)
シーズン途中で規定打席に到達して、打率ランキング上位に名前が出ることを「潜航艇が浮上した」と表現する。ただしキャリアの浅い選手の場合、規定打席に達したとたんに打率が急降下することが多い。相手投手のマークも厳しくなり、本人もプレッシャーを感じるからだ。
坂倉も規定打席到達から3週間ほどで3割を割り込み、このままランキング中位に落ち着くかと思われたが、10月に入って再度打棒が爆発、チームリーダーの鈴木誠也と首位打者を争う展開になっている。
これは坂倉の打撃が単なるフロックではなく、確たる実力に裏付けられていることを意味している。
“再浮上した潜航艇”が残り3試合で、どんな打棒を見せるのか、注目したい。
達成記録と記録予報
記録予報
・1000試合
あと14 明石健志(ソ)これまで512人
・250本塁打
あと2 山田哲人(ヤ)これまで65人
・200本塁打
あと2 レアード(ロ) これまで111人
あと4 内川聖一(ヤ) これまで111人
・100本塁打
あと6 森友哉(西) これまで304人
・350二塁打
あと7 中島宏之(巨) これまで46人
・250盗塁
あと1 大島洋平(中) これまで46人
・300犠打
あと4 菊池涼介(広) これまで7人
・250犠打
あと5 中島卓也(日) これまで20人
・100死球
あと5 鈴木大地(楽) これまで22人
・1500三振
あと5 松田宣浩(ソ) これまで13人
・150勝
あと7 和田毅(ソ)これまで49人
・100勝
あと4 則本昂大(楽)これまで140人
・150セーブ
あと6 増田達至(西)これまで17人
・2000投球回
あと5 内海哲也(西)これまで91人