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《ZOZO優勝》“鉄の意志”松山英樹が「期待された試合で勝てる」理由とは? 松山の言葉で振り返る「強さ」の秘密
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byGetty Images
posted2021/10/25 11:03
日本開催のZOZOチャンピオンシップで米ツアー7勝目を挙げた松山英樹
<名言4>
チャンスはいつ来るか分からない。そのチャンスが来たときに、掴めるように準備をしておけ。
(松山英樹/NumberWeb 2021年4月15日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/847970
◇解説◇
マスターズ優勝で脚光を浴びたのが、松山のキャディとしてサポートしてきた早藤将太だ。中学時代から先輩後輩の間柄で、付き合いはもう10年以上になる。
松山から影響を受けたこと、を問われた早藤はある言葉を教えてくれた。
松山を追うように名門・東北福祉大に進んだ早藤だったが、続々とプロデビューを果たす同期を尻目になかなか将来像を描けないでいた。
「みんな(大学)3年生になった時ぐらいに慌てるんです。僕もそうだった」
「『気づくのが遅いよね』と松山さんに言われました」
松山らの叱咤激励もあり、奮起した早藤は、持ち前のパワーを生かしたゴルフで日本ツアーを目指した。しかし出場権は得られず、活躍の場をPGAツアーチャイナに求めた。3シーズン過ごしたが、そこでも安定した出場資格を確保できない時間が続いたことで25歳で引退を決意している。
「明確な目標がある人と、ない人。その差で大きな違いがあった。もっと早く気づけば、僕の人生もちょっと違ったかもしれなかった。松山さんは小さい頃から目標があったと思うんです。だから人にはできない努力をしてきた。僕に……それを伝えたくて、本当はいつも背中で見せてくれていたのかもしれない」
そんな後輩を松山は見捨てなかった。第二の人生を歩もうとする早藤にキャディとしての成長を促し、プロゴルファーとしての能力と視点に期待した。互いに気兼ねなく言葉を掛け合うがゆえ、大勢の人の前で一触即発の雰囲気になることもあったというが、時間を重ねて成熟したコンビになった。それを証明できたのがマスターズだった。
「『試合に出られない期間が続いても、急に出番が巡ってくるかもしれない。試合に出られたら優勝できるかもしれない、人生が変わるかもしれない。だから準備が必要だ』って。人生のターニングポイントは人それぞれにあって、松山さんはそれをしっかり掴んできた。掴むための準備をずっとしてきたんだと思います」
オーガスタで浴びた歓声は、2人の絆をより固くした。
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