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《ZOZO優勝》“鉄の意志”松山英樹が「期待された試合で勝てる」理由とは? 松山の言葉で振り返る「強さ」の秘密
posted2021/10/25 11:03
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Getty Images
<名言1>
試合の後に反省点が思い浮かばなかった。
(松山英樹/NumberWeb 2021年5月20日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/848154
◇解説◇
オーガスタという場所は、“鉄の意志”を持つ男にこんなことを言わせてしまう。悲願のマスターズ制覇のあと、松山はこれまでの優勝とは異なる感覚を味わった。
「日本に帰って(新型コロナ禍での)2週間の隔離があっても、今まではクラブを触ったりしていたが、今回はまったくそういう気持ちにもならなかった。いつもだったら優勝しても反省というか、あそこをこうしておけばよかったと色々出てくるが、まったく思い浮かばなかった」
反省点が思い浮かばない――決してマスターズでのショットが、パットが、すべて全て完璧だった……というワケではない。「負けて反省、勝っても反省」の松山であっても、マスターズの余韻は格別なものだった。
「クラブを握りたいと思うまで休もう」と決めた松山は、グリーンジャケットを手に日本へ帰国すると、自主隔離期間も含めて約4週間のオフを過ごした。
米ツアー復帰はテキサス州で行われたAT&Tバイロンネルソン(5月13〜16日)。結果は振るわず39位タイ。「4日経って、何も良いところがない。今の自分の状態というか実力」とゴルフの難しさを痛感した。
これを機に、オーガスタであれだけ柔らかかった松山の表情が再び引き締まっていく。メダルこそ逃したものの東京五輪では健闘し、米ツアーでは史上数人しか達成していない「8年連続最終戦進出」という快挙とも言える成果を積み重ねた。
どんな時も常に危機感を持って自分と向き合うからこそ、「期待された試合で勝てる」。日本開催のZOZOチャンピオンシップ(10月21〜24日/アコーディア・ゴルフ習志野CC)では、最終18番でイーグルショットを沈め、マスターズ以来となる米ツアー通算7勝目(日米通算15勝)。国内での優勝は2016年の「三井住友VISA太平洋マスターズ」以来だった。
表彰式では、ツアー開催に奔走した会場関係者や声援を送ってくれたギャラリーに感謝を述べた松山。自然と笑顔は溢れたが、最後は次戦への意欲でコメントを締めくくっている。