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「マスターズが10だとしたら、今は1もない」“悪い状態だった”松山英樹はなぜ優勝できた? 試合後に明かす《最高のドラマ》の勝因
posted2021/10/25 11:04
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph by
Getty Images
ZOZOチャンピオンシップ最終日。アコーディア・ゴルフ習志野カントリークラブには4976人のギャラリーが詰め寄せていた。TV画面を見つめるファンは、日本、そして世界に一体どれほどいたことだろう。
何十万人、何百万人の熱い視線を浴びながら、18番グリーン上でパターを握った松山英樹は、2メートルのイーグルパットを沈め、両腕を上げて万歳ポーズを取った。
米ツアー7勝目は2位との差を5打に広げた圧勝となった。だが、決して楽勝ではなく、むしろ苦戦を乗り越えた末の辛勝だった。
第1回大会はタイガーが優勝
ZOZOチャンピオンシップは日本で開催される唯一の米ツアー大会。2019年の第1回大会の際は、タイガー・ウッズが13年ぶりに日本でプレーするとあって、大勢のファンが習志野へ詰め寄せた。
その期待に見事に応えたウッズは、サム・スニードの記録に並ぶ通算82勝目を達成。惜しくも2位に甘んじた松山は「タイガーの勝利を阻止しようと頑張ったつもりだが、及ばなかった」と唇を噛んだ。
2020年はコロナ禍ゆえに、大会は米カリフォルニアで開催され、2年ぶりに日本へ戻ってきた今年、優勝への期待を一身に浴びていたのは、日本のエース・松山だった。
今年2月の交通事故で重傷を負ったウッズは、いまなおリハビリ中で今大会の出場は叶わなかった。だが、松山が優勝候補の筆頭だったワケは、ウッズが不在だからではもちろんなく、今年のマスターズを制した日本男子初のメジャーチャンプのさらなる雄姿を誰もが見たいと願っていたからに違いない。
しかし、肝心の松山の表情は開幕前から険しかった。