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《ZOZO優勝》“鉄の意志”松山英樹が「期待された試合で勝てる」理由とは? 松山の言葉で振り返る「強さ」の秘密
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byGetty Images
posted2021/10/25 11:03
日本開催のZOZOチャンピオンシップで米ツアー7勝目を挙げた松山英樹
<名言2>
メダル取れなくてすいませんでしたー!
(松山英樹/Number1033・1034号 2021年8月12日発売)
◇解説◇
東京五輪で日本代表監督を務めた丸山茂樹は、惜しくもメダルを逃した松山のプレーをこう振り返った。
「最終日の18番のセカンドショット。その前の17番でバーディパットを外し、本人もメダルが厳しくなったことを自覚していた。それでも、めげずにバンカーからチャンスにつけてくる。あんなショットは常人では打てません。だから、プレーオフ(PO)は力尽きてしまったかな。それでも、PO18番のティショットはフェアウェイど真ん中にバシッと打った。体力も気力も残ってない中でも正確なショットを繰り出せる精神力を最後に見せてくれました」
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ただ何より丸山が喜んだのは、試合後に触れた松山の笑顔だった。
「本人は、はらわたが煮えくり返るほど悔しかったでしょう。ただ、試合直後に『メダル取れなくてすいませんでしたー!』と冗談っぽく言っていたんです。それが嬉しかった。彼にとって一番明るい対処の仕方だったと思う。僕がそばについたことが緊張感を和らげることにつながっていたとしたら、役割を全うできたと言えるかもしれません」
プレー中は表情を崩さず、いわば“鬼の形相”で勝負に徹する松山。だが、デビュー当時から交流を深めてきた丸山は、それこそが松山の素顔だと言う。
マスターズ以来の優勝となったZOZOチャンピオンシップの表彰式では、たくさんの笑顔を覗かせた松山。解説席に座っていた丸山も「この笑顔を日本の皆さんにみてもらいたかった」と誇らしげに語っていた。
松山マスターズV、号泣した先人たち
<名言3>
日本人は今まで「できないんじゃないか」というのがあったかもしれない。僕はそれを覆せたと思う。
(松山英樹/NumberWeb 2021年4月15日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/847776
◇解説◇
日本人ゴルファーとして初めてグリーンジャケットに袖を通した松山。多くの人の心を揺さぶる4日間の戦いだったが、先人たちの涙もまた印象的だった。
優勝の瞬間、テレビ中継の解説を務めていた中嶋常幸は「すいません、苦しかったから、本当によかった……」と涙が止まらず、同じくゲスト解説の宮里優作や実況を担当した小笠原亘アナも歴史的快挙を前に声を震わせた。
ホールアウト後、松山はテレビの前でむせび泣く先輩プロや恩師の何人かに、すぐに電話をかけたという。ルーツを紐解けば、決してひとりでこの大偉業を遂げたわけではなく、ここまでに出会ったすべての人々、世代を超えた同志たちが残した思いが血肉となったのだ。
「日本人は今まで『できないんじゃないか』というのがあったかもしれない。僕はそれを覆せたと思う」
オーガスタで高らかに告げたのは、先人たちの愛情と、本気の挑戦歴への感謝でもあった。