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「クラブを握りたいと思うまで休もう」“鉄の意志”を持つ松山英樹も浸ったマスターズの余韻…本気モードに切り替えて挑む全米プロ
posted2021/05/20 17:01
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph by
Getty Images
5月の男子メジャー、全米プロゴルフ選手権の2021年の会場、キアワアイランド・オーシャンコースは米国南東部サウスカロライナ州の海岸線にある。
4月のマスターズの会場、ジョージア州オーガスタナショナルGCからは東に直線距離で200kmほど。
だが、目下のメジャーチャンピオンはこの間、少々遠回りをして次なるメジャートーナメントに臨むことになった。
松山英樹はマスターズの翌日、グリーンジャケットを一度オーガスタから日本に持ち帰り、新型コロナ禍での自主隔離期間も含め約4週間のオフを過ごした。再渡米したのは5月上旬。自宅のあるフロリダ・オーランドで眠っていた身体と感覚を叩き起こし、翌週テキサス・ダラス近郊でのAT&TバイロンネルソンでPGAツアーに復帰した。
それが先週のことである。
ゴルフは怖い。AT&Tバイロンネルソンを39位で終えた松山は、「4日経って、何も良いところがない。今の自分の状態というか実力」と憮然として振り返った。ロースコアの争いになった戦いで、一番の好材料に挙げたのは予選ラウンドをカットライン上で何とか通過し、72ホールを回り切ったという最低限の結果だった。
「反省点が思い浮かばなかった」
高校生だった2008年に初めて出場したプロツアー。日本でアマチュア時代の1勝も含めて8勝、米ツアーではマスターズに勝つまでに5勝を挙げてきた。
オーガスタでの激闘とこれまでの優勝との違いは、「試合の後に反省点が思い浮かばなかったこと」だと松山は言う。文句の付けようのない、ショットもパットもすべて完璧……という内容だったから、というワケではない。
「日本に帰って(新型コロナ禍での)2週間の隔離があっても、今まではクラブを触ったりしていたが、今回はまったくそういう気持ちにもならなかった。いつもだったら優勝しても反省というか、あそこをこうしておけばよかったと色々出てくるが、まったく思い浮かばなかった」