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松坂大輔「メディアに出る前にみんなに伝えたかった」引退発表30分前に届いたLINE…5人の同級生が見た“スーパースター”の去り際
posted2021/10/22 11:04
text by
樫本ゆきYuki Kashimoto
photograph by
JIJI PRESS
“松坂引退”の速報が流れた30分前に…
横浜高校時代は松坂大輔と同学年で、卒業後も親交が深い大竹元樹は、松坂からのLINEに気づいた。7月6日の22時ごろだった。
「グループLINE作って!」
何だろう急に、と思った。子どもを寝かせて、リビングでのんびりと晩酌を楽しんでいる最中だった。きっと飲みの誘いだろうと思い、気軽な気持ちで返信した。
「マツお疲れ。意味深だねぇ。何なに? 横浜? グループLINE? 明日つくっとくわ!」
いつもの松坂と様子が違う。送信後すぐ“既読”になる速さに、嫌な予感がした。
「いや、いますぐお願い」
酔いが冷めた。ただ事ではない、と思ったからだ。連絡を密にとっている仲間から順にグループLINEを作り、一斉送信した。
タイトルは「みんなあつまれ! 横高緊急招集」。ポンポンポン、とつぎつぎに同窓生たちのアイコンがLINEに並んだ。
数分後、松坂から長文のメッセージが届いた。
そう。現役引退を横浜高の野球部に伝える内容だった。「メディアに出る前にみんなに感謝を伝えたかったので」の一文が松坂らしかった。ネットニュースで松坂大輔引退の速報が流れる、わずか30分前の出来事だった。
ブルペンキャッチャーだった浦田松吉は「文の最後に“笑い”のスタンプをつけて、しんみりさせないようにしているところがマツらしかった。ふざけるヤツ、真面目に返信するヤツ、高校時代からの変わらない人たちのメッセージがグループLINEに並んでました。冗談で『俺も会社辞めるーーー!』って言ってるやつもいて(笑)。みんなマツのメッセージに、いろんな感情があったと思います」と仲間の思いを代弁した。