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中盤センターの質と監督力は昇格組よりも劣る…ロナウドを迎えたマンUの完全復活はいったいいつ?
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/10/20 17:00
開幕戦で快勝を収め好スタートを切ったマンチェスター・Uだが、以降は低調に。問題点は明らかなのだが……
この3強だけではない。エバートンはアブドゥライエ・ドゥクレとアランが運動量と敢闘精神で中盤を支え、ウォルバーハンプトンはポルトガル代表の名手ルベン・ネービス、ジョアン・モウチーニョを擁している。トッテナムではリーグ屈指のボールハンター、ピエール・エミル・ホイビェアがにらみを利かせ、ウェストハムのデクラン・ライスとトマーシュ・ソーチェクの連係は、試合を重ねるごとに練度を高めている。
ポグバは中盤センターではない
一方、ユナイテッドは残念ながら中盤センターを固定できていない。
中心になるべきポール・ポグバは守備力の不安から、対戦相手によって2列目の左サイドにしばしば起用され、かといって彼を欠いた中盤は創造力が一気に失われる。
「ポグバは4-3-3の中盤左インサイドが適性。4-2-3-1の中盤センターではない」との指摘がイタリア、フランスから聞こえてくる。しかし、誰がアンカーを務められるというのだろうか。フレッジ、スコット・マクトミネイ、ネマニャ・マティッチといった候補者は一長一短。ドニー・ファンデベークはオーレ・グンナー・スールシャール監督の覚えがめでたくない。
中盤センターの人材難は、ポグバの相棒の不在は、数年前から明らかだったにもかかわらず、なぜか今夏の市場でも補強しなかった。来年1月にACミランのフランク・ケシエ、もしくはインテル・ミラノのマルセロ・ブロゾビッチを獲得すると言われているが、なにをいまさら……。遅きに失した。
ベルバトフも古巣の窮状を憂う
今シーズンのユナイテッドはクリスティアーノ・ロナウドの加入に伴い、攻撃力が増大されたようなイメージがある。ただ、36歳になった彼にプレー強度の向上を期待するのは酷であり、「前から追いまわせ」は無理なリクエストだ。ボールロストの場合は前方からのプレスよりもリトリートが望ましく、マーカス・ラッシュフォードやアントニー・マルシャルにも攻守の切り替えで疑問符がつく。