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<ドラフト>“世代ナンバーワン投手”候補だった中京大中京・ 畔柳亨丞は日本ハム5位「プロに入れば順位は関係ない」
text by
間淳Jun Aida
photograph byJun Aida
posted2021/10/13 06:02
日本ハム5位指名を受けた畔柳亨丞。プロ入り後にその評価を覆せるか
1学年先輩の高橋宏斗は昨秋のドラフトで、中日から1位で指名された。ずっと背中を追い、憧れていた存在。畔柳は「宏斗さんは高校時代、無双でした」とドラフト1位で入団する選手の力を肌で感じていた。
しかし、その高橋でさえ、プロ1年目は高い壁に直面している。公式戦デビューとなった3月27日のウエスタンリーグ・阪神戦で、予定の1イニングを投げ切れず4安打3失点で降板。今シーズンは二軍で14試合に投げて、0勝5敗、防御率7.01とプロのレベルを思い知らされる1年となった。
畔柳は高橋の成績から、プロがいかに厳しい世界なのかを想像している。だからこそ、背伸びをせずに足元を固めていくつもりだ。新人王や先発ローテーション入りを1年目の目標には掲げず「まずは1年間、しっかり体をつくりたいと思います」と語った。
小園健太に対して「世代No.1」と脱帽するが
畔柳の頭の中には、同学年の一軍最速デビューはない。今の時点での「世代ナンバーワン投手」には小園の名前を挙げる。同い年とは思えない完成度の高さに「直球の強さに変化球、コントロールも素晴らしくて見習うところが多いです」と脱帽する。だが、直球で負けるつもりはない。穏やかな口調は、直球に話が及ぶと力が入る。
「自分の持ち味は直球。藤川球児さんのように、打者が分かっていても打てない直球を目指して、プロでも磨きをかけていきたいです」
畔柳の代名詞ともいえる直球。150キロを超える球速だけではなく、その特徴は球質にある。中京大中京の高橋源一郎監督は、こう表現する。
「ベースの上で球威をすごく感じさせる。生まれ持った才能」
畔柳は今春のセンバツでも直球で打者をねじ伏せ、登板した4試合のうち2試合で完封した。
ただ、高校野球ファンにとって、畔柳の記憶はセンバツの時から止まっているかもしれない。