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宇野昌磨「彼(鍵山優真)に尊敬されてるからこそ」…2人とも4回転“4種類5本”を目指すワケ<ゲームも一緒にする仲に>
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAsami Enomoto(L), AFLO(R)
posted2021/10/12 17:01
(左)2チーム対抗戦で行われたジャパンオープンに出場した宇野(右)関東選手権のフリーで3種類の4回転ジャンプを4本入れる構成に初チャレンジした鍵山
「4回転ループは諦めた期間もありました。4回転サルコウの調子が良い日に、4回転ループまで練習することがあったんですが、全然跳べる気がしませんでした。でも鍵山君を見て、真剣に『4回転ループを跳びたい』という気持ちをこめて練習を始めたら、1週間くらいで跳べました(笑)。本当に気持ちというのは大きいなと思いました」
ここ3年、一度もクリーンに成功しなかった4回転ループを、わずか1週間で跳べてしまったというのだ。
「一度跳べてからは、割とコンスタントに跳べるようになってきて、4回転サルコウよりもループに自信があります。感触としては良いものを感じられるようになっていきました」
宇野と鍵山は一緒にゲームもする仲になった
気づけば、宇野は「トウループ、サルコウ、ループ、フリップ」の4種類、鍵山は「トウループ、サルコウ、ループ、ルッツ」の4種類を練習。お互いが「週末に会えるのが楽しみ」と刺激しあい、練習の休憩時間には一緒にゲームもする仲になった。
そして迎えた五輪シーズン。鍵山は一足早く、8月中旬のローカル大会にエントリー。そこで4回転ルッツに初挑戦しようと練習に力を注いでいたが、大会1週間前の練習中に、右手を痛めてしまう。試合翌日に病院に行くと、右手の骨挫傷と診断された。「4回転ルッツで変な降り方をしたときに、右手を強く打ってしまいました。ギプスで固定されてしまったので、2週間は全然練習ができなくて、氷に乗って滑るだけでした」
2戦目を10月1~2日の関東選手権に定めると、怪我の原因になったルッツはいったん封印し、新たな4回転として4回転ループのほうを選ぶことにした。
「怪我したルッツはまだ怖さが残っています。今回は、ループもまだ安定していないですけれど、長く練習してきたぶん失敗の仕方とかも分かってきています。4回転ループをクリーンに降りたのは7月が最後ですが、まずは4回転ループを試合で入れて、それ以外をまとめることを目標にします」
一方の宇野は、10月2日のジャパンオープンを初戦に。4回転ループを復活させ、フリーで「4種類5本」に挑むことを決めた。
宇野「4回転を5本やる以上、今まで以上の体力が必要」
「4回転5本のプログラムは、一旦失敗すると、失敗が連鎖してしまう。どの試合もノーミスというのは難しいからこそ、自分の自信があるジャンプを増やして、そこでミスを止められるかが重要になります。今まで入れていた4回転トウループ、4回転フリップ、トリプルアクセルの自信をつけることが最初の課題。そして4回転を5本やる以上、今まで以上の体力が必要になります」