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宇野昌磨「彼(鍵山優真)に尊敬されてるからこそ」…2人とも4回転“4種類5本”を目指すワケ<ゲームも一緒にする仲に> 

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野口美惠

野口美惠Yoshie Noguchi

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photograph byAsami Enomoto(L), AFLO(R)

posted2021/10/12 17:01

宇野昌磨「彼(鍵山優真)に尊敬されてるからこそ」…2人とも4回転“4種類5本”を目指すワケ<ゲームも一緒にする仲に><Number Web> photograph by Asami Enomoto(L), AFLO(R)

(左)2チーム対抗戦で行われたジャパンオープンに出場した宇野(右)関東選手権のフリーで3種類の4回転ジャンプを4本入れる構成に初チャレンジした鍵山

 そして迎えた10月2日、先に出番となったのは宇野だった。冒頭で4回転ループに挑むとステップアウトに。続く4回転サルコウも2回転になったものの、「ミスの連鎖を止める練習」の成果を発揮し、演技後半の4回転フリップ、4回転トウループ、トリプルアクセルを成功させた。フリー181.21点をマークした。

「ジャンプ1本1本の成功率は上がってきていても、プログラムを通したときにループとサルコウはなかなか安定しません。このジャパンオープンは自分を知ることが目標。練習をどう改善していくのか再確認できたと思います」

佐藤駿が4回転ルッツを成功させたことを知った鍵山は……

 それから約1時間半後、鍵山も関東選手権のフリー本番を迎えた。鍵山は演技前に、宇野の試合結果をチェック。宇野が4回転ループを含む5本に挑戦し、またもう1人のライバルである佐藤駿が4回転ルッツを成功させたことを知った。

「気合いが入らないほうがおかしい」と鍵山。闘志を燃やして氷に降りると、6分間練習でおよそ2カ月ぶりにクリーンな4回転ループを着氷させた。本番も、4回転ループを90度の回転不足となりながらもステップアウトに留める。4回転サルコウは2回転になり、2本の4回転トウループはきっちり決めた。初めてとなる「3種類4本」の挑戦を終えた鍵山は、演技後、思わず氷に手を付いた。

「4回転を何本も跳ぶとやはり足に来ますし、さすがに疲れました。ループはステップアウトで転ばなかったのは、今の状況では上手くいったほう。ループでミスをしたあと、サルコウは似たような(助走の)コースで似たようなミスをしてしまったのが、今回の課題かなと思います。全日本選手権までにループを安定させてプログラムを完璧に滑りこなして、ループが安定したらルッツも再開しようと思います」

 同じ日、違う場所で、4回転ループへの挑戦をスタートさせた2人。それぞれ立場や経緯が違えども、「4種類5本」という夢は共通だ。

「優真くんといると、もっと練習したいと思える。そう思える人がいることが大事だなと思います。この子をみて、もっと上手くなりたい、この子にとってモチベーションになる人であり続けたいと思うようになりました」と宇野。鍵山もそれに答えるかのように言う。「自分も負けないよう、早く追いつけるようにしたいです。怪我もあって遅れている段階なので、早く次の試合では良い演技が出来るようにしたいです」

 北京五輪で、その夢を叶えるために――。2人は階段を駆け上がっていく。

記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。

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