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阪神・佐藤輝明“復活”のヒントは「大谷翔平」と「ヤクルトの破壊力」に? タイガース元4番・濱中治が示した仮説とは
posted2021/10/08 11:06
text by
豊島和男Kazuo Toyoshima
photograph by
Hideki Sugiyama
この日を待っていた。
阪神タイガースの佐藤輝明が放った痛烈な打球が一、二塁間を破った瞬間、横浜スタジアムが異様な雰囲気に包まれた。どよめきと歓声が交差。
待望の快音は10月5日のDeNA戦で生まれた。
初回2死一、二塁で迎えた第1打席だ。坂本裕哉がカウント2―2から投じた低めのカットボールに反応。やや体勢を崩されながらも確実に捉えた一打は勝利を後押しする右前へのタイムリーとなった。実に8月21日以来22試合、60打席ぶりの安打。再び歴史が動き出した瞬間だった。
長いトンネル「もちろん理由はある」
今年のプロ野球は最後の最後まで目が離せない。セ・パ両リーグともにゴール目前のペナントレースは大混戦。果たして価値あるリーグ優勝の行方は――。その一方で、今季は序盤から球界の注目を独り占めした怪物が、シーズン中盤以降は“不名誉”な話題で注目を集めることになった。
順風満帆と思われた黄金新人の前にも、やはりプロの高い壁が立ちはだかったのだ。チームの快進撃を支えた原動力が大失速。8月21日の中日戦(バンテリンドーム)の8回、第4打席で記録した中前打を最後に快音が止まった。
9月9日のヤクルト戦(甲子園)では2打席2三振を喫し、球団日本人最多のシーズン151三振を記録。35打席連続無安打と低迷した。ついに翌10日にはプロ入り初めて二軍に降格。23日には一軍復帰を果たしながらも出口の見えない長いトンネルの中でさまよっていた。
「もちろん(安打が出ない)理由はありますよ。まずは打撃フォームで気になるところが何カ所かあります」
佐藤の打撃フォームを指摘したのは、野球解説者の濱中治氏だ。現役時代は阪神、オリックス、ヤクルトの両リーグで活躍。阪神時代の2003年には24歳にして開幕4番も務めた。