水沼貴史のNice Middle!BACK NUMBER
「W杯が夢から目標になりました」「今季は20ゴール以上」古橋亨梧の成長に水沼貴史も驚いたワケ《たった4年でJ2→J1→欧州》
text by
水沼貴史Takashi Mizunuma
photograph byGetty Images
posted2021/10/06 17:03
大卒→J2から始まったキャリアだったが、わずか4年で「W杯」を目標と言える位置まで階段を登ってきた
水沼 そこから中央大学に。そこでの4年間はどうでしたか? 私も大学サッカーを経験しましたが、自分次第で良くも悪くもどうにでもなる世界です。
古橋 絶対にプロになってやるというつもりでした。同期のスポーツ推薦枠は11人いたのですが、僕以外はみんなJリーグユースだったり、全国大会に出場した選手だったので、「絶対に負けないぞ」という気持ちを持っていましたね。
1年の頃から試合に出させてもらったり、大学選抜の候補にも選んでいただきました。でも、いい4年間だったかというと、苦しい時間だったなとも思います。
水沼 苦しい?
古橋 膝の靭帯を切って試合に出られなかった時期もありましたし、大学4年時もなかなかプロ内定が決まらずに、12月半ばまで粘り続けていました。
大学選抜に選ばれた時など鼻が伸びていた時代もあったと思いますが、それを気づかせてくれたのは内野先生でしたし、健さんの支えもあって腐らず頑張れました。たくさんの方に支えてもらったからこそ、感謝の気持ちを忘れてはいけないなと。
水沼 だからプレーや表情にも滲み出ているんだろうね。みんなが「真面目です」と言う理由がわかりました。
古橋 こういう場になると、真面目なことしか言えなくてすみません(笑)。
W杯は「夢」から「目標」に
水沼 日本代表のお話も聞かせてください。最終予選の最中ですが、「W杯」に対してはどんなイメージを持っていますか?
古橋 少し前までは自分がそこに行ける選手とは思っていなくて「夢」だったんですけど、今は少しずつその場所に立てる資格が、チャンスが近づいて、「目標」になりました。
水沼 日本代表ではどんなことを求められている? レギュラー争いもこれから本格化すると思います。
古橋 やっぱり動き出しの部分、そして守備のところは言われます。裏を取り続けたら相手のDFラインを下げられて、テクニックがある中盤の選手を活かせるし、守備では前線から追い続けて後ろの選手を楽にすることが役割。どんなポジションでも呼んでもらえたら、僕ができることをやる。それが使命だと思っています。
水沼 代表の雰囲気はいい?
古橋 いいと思います。海外でプレーする選手が集まっていますし、経験豊富な選手もいる。仲良いだけじゃなく、しっかり意見の交換ができる関係なので刺激的です。いろんな意見もあると思いますけど、勝つために一丸となって積極的にやっていれば見ている人たちも応援してくれると思うので、とにかくやり続けることが大事かなと。
水沼 アーセナルで活躍するDF冨安健洋といった日本代表選手たちの存在も刺激になるでしょう。スコットランドにいればレベルの高い試合を見る環境は整っているでしょうし。
古橋 スコットランドからプレミアに挑戦する選手は多いので、ああいった活躍はとてもモチベーションになります。とにかく結果を出し続けることで、それも近道になるでしょうし、自分のできるプレーをやり続けて、リーグ優勝、カップ戦タイトルも取って、ヨーロッパリーグも上に行けるチャンスがまだまだあると思うので、チームのために何か残せたらと思います。それがW杯にもつながっていくと思います。
クラブでも代表でも結果を残し続けていくことしか生き残るチャンスはない。できないことをやるのではなく、自分ができることをとことんやって、それをチームに還元したいなと思います。