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[JRAハンデキャッパーに聞いてみた]牝馬にハンデは必要か?
posted2021/10/09 07:02
text by
江面弘也Koya Ezura
photograph by
Takeharu Ota
V9女帝を筆頭に、まことに強い牝馬が続々と登場してくる昨今、ふと脳裏に浮かぶのが、「牝馬の斤量が牡馬より2kgも軽いって、ホントに正しいの?」という素朴な疑問である。もっと素朴さを突き詰めれば、そもそもハンデってどうやって決めてるの? 当事者に聞いた。
ハンデ戦は負担重量に差をつけることで各馬に等しくチャンスを与えようとするレースである。昨年、JRAの平地競走は3331レースあったが、そのうちハンデ戦は198レース。内訳はオープンクラスが61(うち重賞27)で、3勝クラス75、2勝クラス62レースだった。オーストラリアのメルボルンカップのように外国にはハンデ戦のGIもあるが、日本では優勝劣敗の原理に基づいてGIにハンデ戦はない。
牝馬のハンデの話を始める前に、まずハンデが決まるまでの手順を、JRA上席ハンデキャップ役の橋本真一氏に聞いた。獣医師でもある橋本氏は診療所に10年勤務し、ハンデキャッパーになって14年目になるベテランである。
JRAのハンデキャッパーは12名で構成される。全員様々な部署で経験を積んできた職員だ。開催競馬場の担当は各3名で、日曜日に次週の特別登録があり、翌日の15時にハンデを発表する。ハンデキャッパーは各々が考えたハンデ案を持ちより、月曜の会議で合議によって決めるのだが、時として激論になることもあると橋本氏は言う。
「最初にトップハンデを決めるのですが、オープン競走だと能力差が大きいので、どこまで高くするのか、または抑えるのかで、激論になることもあります」