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スターダムの“妖精”なつぽいが夢見る新たなベルトと“自分だけのプロレス”「性格悪いも褒め言葉です」《特別グラビア+インタビュー》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/10/07 11:02
“ハイスピード・フェアリー”と呼ばれるスターダムのなつぽい。アーティスト・オブ・スターダム戴冠に続き、次なる目標も。
試合後には必ずエゴサーチ
なつぽい自身が思う「自分」とはどんなものなのか。そう聞くと、彼女は真っ先に「嫉妬深いです」と答えた。
「試合の後は必ず“なつぽい”でツイッターを検索しますね。他の選手の評判とか“いいね”やコメント数も気になっちゃいます。試合だけじゃなく人気でも負けたくなくて。素直に凄いなぁと思える選手もたくさんいるんですけど、やっぱり負けたくないと思う選手が多いし、それが試合にも出ますね。
本当のことを言えば、誰とも比べられず自分だけひたすら褒めてもらいたいです(笑)。褒めて伸ばしてほしい。でもそうもいかないので、負けたくないという気持ちは自然に強くなっちゃいますね」
以前は、そういうドロドロした感情は隠さなくてはいけないと思っていた。こんなに人のことを妬むなんて、性格が悪すぎるんじゃないかと本気で悩んだこともあるそうだ。親友のsareee(現・WWE所属のSARRAY)に相談すると「みんなそんなもんだよ」と言ってもらって安心した。
“白いベルト”への挑戦で見えたもの
今年4月、中野たむが持つ“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダムに挑戦。同じ元アクトレスガールズのたむに泣きながら張り手を連打する場面は強烈な印象を残した。8月、スターライト・キッドとのハイスピード王座戦も敗れたとはいえ高い評価を得ている。そこで見られたのも“リングの妖精”“ハイスピード・フェアリー”というキャッチフレーズから大きく逸脱するような意地の張り合いだった。
この2試合は、黒星ながらスターダムにおけるなつぽいの“代表作”に数えていいものだ。ただ本人に言わせると、たむ戦は「性格の悪さが出すぎました(苦笑)」。キッド戦にも満足はしていない。
「キッちゃんとの試合は、勝ち負け以外の部分でも悔しかったです。試合が終わって久々に泣きました。自分の動きに満足できなくて。最近、試合の映像を見ると“全然ダメだな”って思うんですよ。昔のほうが動けてた感じがして。でも昔の試合を見ると“あれ、こんなもん?”って。高望みというか、自分の理想が上がっちゃってるんですかね。自分の試合をうまく分析できないんです、今」