濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
スターダムの“妖精”なつぽいが夢見る新たなベルトと“自分だけのプロレス”「性格悪いも褒め言葉です」《特別グラビア+インタビュー》
posted2021/10/07 11:02
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Takuya Sugiyama
「なつぽい」というリングネームは、決意の表れだった。
元は「万喜なつみ」として試合をしていた。幼い頃から芸能界で活動し、“女優によるプロレス団体”アクトレスガールズで2015年にレスラーデビューを果たす。東京女子プロレス時代はインターナショナル・プリンセス選手権の初代チャンピオンに。そして昨年10月から、戦場をスターダムに移した。
「ここで闘っていくには普通じゃダメ」
「アクトレスガールズの新人時代に参戦させてもらっていたスターダムは、宝城カイリさん、紫雷イオさん、岩谷麻優さんの“3人娘”に美闘陽子さんを加えた四天王の時代。この4人は雲の上の存在というか、飛び抜けていて完全に別格でした。でも、久しぶりに上がることになった今のスターダムは上も下もなくて全員がギラギラしてるんです。みんな、いつも何かのベルトを狙って主張している。
そこで目立って生き残るためには名前からしてインパクトが必要だなって。なつぽいというのはレスラーになる前からのあだ名なんですけど、まさかリングネームにするとは思ってなかった(笑)。イロモノ感が出ちゃう可能性もあるけど、ここで闘っていくには普通じゃダメだって思いました。スターダムは個性の強い選手が多いので」
所属ユニットのドンナ・デル・モンドはジュリア、朱里、ひめか、舞華になつぽいと全員がファーストネームのみ(ひめかは「有田ひめか」から改名)。ただ、それがルールというわけではないそうだ。ユニットを作ったジュリアからも自由に考えてほしいと言われ、自分で「なつぽい」にすると決めた。
「なつぽいのほうが絶対に目立つじゃないですか。それに“なつみ”とか“NATSUMI”だと芸能界含めてたくさんいるのでエゴサに引っかかりにくいんです(笑)」
アイドル人気もある“実力派”がスターダムへ
キャリア初期。芸能界からのプロレス挑戦にはどうしても偏見がつきまとった。見返すには実力をつけるしかなかった。実際、彼女には“ザ・女子プロレスラー”という面もある。アクトレスガールズ時代の出稽古先は元・全日本女子プロレスの井上京子が率いるディアナ。ジャガー横田も所属している。ビューティ・ペアやクラッシュ・ギャルズも生み出した「全女」は日本における女子プロレスの源流と言っていい。なつぽいはディアナで全女出身の伊藤薫から基礎を学び、力をつけていった。
高校3年生まで12年間バトントワリングに打ち込み、全国大会にも出場。つまりフィジカル、運動能力のベースもあった。
「バトントワリングの練習の前には、必ず体幹トレーニングをしてました。腹筋、背筋、プランク。それを12年やってたのが大きいんだと思います」