「初めてほしいと思ったベルトが白いベルトなんです」

　ハイスピードのベルトを失って、なつぽいはこれから次のフェイズに向かおうとしている。目標は白いベルト。“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダムへの挑戦も意識するようになった。「小さくて動けるからハイスピード」という枠に収まりたくないという気持ちも強い。白いベルトは新人時代からの憧れ、コスチュームを譲り受け現在もたびたび相談に乗ってもらう宝城カイリも巻いた。WWEで活躍したカイリ・セインだ。

「初めてほしいと思ったベルトが白いベルトなんです。私にとって白いベルトはカイリさんのベルト。あきらめずに何度も挑戦する姿に心を打たれたし、カイリさんがベルトを巻いた瞬間にプロレスをやる意味、ベルトの意味を感じました」

　かつては雲の上だった、宝城カイリや岩谷麻優の領域に挑みたいという気持ちが芽生えているのだろう。そのために彼女は“自分のプロレス”に磨きをかけようとしている。もっと上に行きたい。だから人と同じことをしている場合ではない。

自己分析は「人をムカつかせる天才」

　このところ、なつぽいは試合の中でコミカルな要素を強く打ち出すようになっている。最初は5月の白川未奈戦だっただろうか。白川が入場時に見せる“グラビアポーズ”を誇張しまくってモノマネし、観客を笑わせて白川を怒らせた。

「未奈ちゃん、リングコールの時にいつもがめつい顔してるなぁと思ってたんですよ。それをオーバーに真似してみました」

　なつぽいの自己分析は「嫉妬深い」だけでなく「イタズラ好き」で「人をムカつかせる天才」でもあるのだった。そんな性格をプロレスで表現するとどうなるのかをよく考えるという。

　9月のウナギ・サヤカ戦では長いゴムの紐を持ち込み“ゴムパッチン”攻撃を連発。レフェリーもリングアナも巻き込んで、あげく試合は両者リングアウトに終わった。ふざけてるのかと言われれば、まあそうなのだが、これもまたなつぽいの個性の出し方なのだ。シリアスが上でコミカルは下という考え方はしていない。

ウナギ戦ではゴムパッチンを持ち込み、コミカルな試合を展開　©Norihiro Hashimoto

「アクトレスガールズ時代から、たくさんの団体に出させてもらってるんですよ。主要団体だと、出てないのはOZアカデミーとSEAdLINNNGだけだと思います。いろんな団体で、いろんなプロレスがあるというのを学びました。マーベラスで組ませていただいた渡辺智子さん、対戦した永島千佳世さんは強さもあるし面白さもある。広田（旧姓・広田さくら）さんも楽しくて大好きです。広田さんのプロレスはもう、誰にも真似できないですよね（笑）」

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