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投手・大谷翔平が10勝目前で“登板断念”した真相…監督・GM・本人も納得のシーズンだった「来年、また別のレベルに到達する」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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photograph byGetty Images

posted2021/10/03 06:01

投手・大谷翔平が10勝目前で“登板断念”した真相…監督・GM・本人も納得のシーズンだった「来年、また別のレベルに到達する」<Number Web> photograph by Getty Images

今季最後の登板となった9月26日のマリナーズ戦。10勝目ならずも、7回1失点と好投した

 昨季の投球回数から考えれば、今季の130回1/3は上出来であり、怪我なくシーズンを投げ終えたことは最高の結果と言える。そして、今季の投球回数のリミットとしては、それがマックスだったのだと感じる。事実、22試合目の先発となった9月19日のアスレチックス戦を前にしてマドン監督はこんなことを言っていた。

「今季、あと2回先発をすれば、来年は150回くらいの投球回数が快適に投げられるかもしれない。そうなれば、ある意味ですべてがうまくいく。つまり、彼が今日と次の機会に投げることで、(来季以降)彼にもっと多くプレーさせることができるかもしれない。そういうことを意味している」

「彼は来年、また別のレベルに到達する」

 この時点で大谷の投球回数は115回1/3。指揮官の言葉通り、その後の先発機会はアスレチックス戦を含め2回で終了し、投球回数は130回1/3で終わった。来季以降へ向け、大谷は球団が設定したプラン通りに今季を終えたことになる。マドン監督は言った。

「彼は130回を力強くフィニッシュした。なんの制限も設けず投げる中で、これ以上ないほどにうまくいった。彼の今後に向け、130という数字はとてもいい。彼は充分に投手として成し遂げた」

 ミナシアンGMも同様だった。

「去年はそんなに多くのイニングを投げていなかったが、今年は多くのイニングを投げた。その中で完璧な体調でシーズンを終えた。彼は来年、また別のレベルに到達すると思っている。楽しみでならない」

今季後半の投球に安定感が増した理由

 後半戦は投げるたびに安定感が増し、直球の球速もコンスタントに95マイル(約153キロ)以上をマークした。その中で、大きく変わっていったのが投球フォームだった。

 前半戦と比べ、投球のステップ幅が半足ほど広がり、リリースポイントは打者に近づき、前に大きい躍動感あふれるフィニッシュへと変わっていった。それと同時に大きく変わったのがテークバックの動きだった。

 映像や分解写真で見れば一目瞭然となるが、前半戦と比べると大谷のテークバックはかなり小さくコンパクトになった。極めて体に近い位置から右腕がスッと上がってくる。この小さくシンプルなテークバックの確立こそ、今季後半の安定感を生んだと言える。

【次ページ】 今季の投手・大谷を語る上で見逃せないポイント

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