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開幕6連勝でセリエA首位を独走するナポリ 集大成の攻撃サッカーに敵将も「彼らこそリーグ最強のチームだ」とお手上げ
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2021/10/02 17:00
圧巻の攻撃サッカーで開幕6連勝とスタートダッシュに成功したナポリ。1989-90シーズン以来のスクデット獲得を狙う
唯一の不安材料は来年1月のアフリカ・ネーションズカップ
オフシーズンの手術や故障で出遅れていたFWメルテンスやMFデンメもようやく戦列復帰し、ベンチの厚みはさらに増した。
チームにとって唯一の不安材料は、来年1月のアフリカ・ネーションズカップで、オシムヘン(ナイジェリア)やアンギサ(カメルーン)、クリバリー(セネガル)ら現在の快進撃を支える主役たちが長期離脱してしまうことだが、彼らは小細工をせずグラウンドで公明正大に戦い合うことを選ぶだろう。
長く未完成のまま理想論でしかなかった“ナポリ流の攻撃サッカー”が現実の形になりつつあるのだ。
第3節ではスクデット奪回に燃えるはずのユベントスを撃破し、第5節では第3節に王者インテルと引き分けた難敵サンプドリアを相手に4発大勝。
第4節にホームで4失点大敗を喫したウディネーゼの監督ゴッティは「ナポリを讃える他ないだろう。人もボールも密集するエリアで彼らの攻撃展開力はずば抜けている。ナポリの選手に1メートル与えれば命取りだ」と舌を巻いた。
9月26日の第6節で敗れたカリアリは、攻撃を放棄して守りに専念していなければ到底2失点だけでは済まなかった。2009年から4季ナポリの指揮を執ったOB監督の1人である指揮官マッツァーリは、見違えるほどに変貌した古巣にあらためて戦慄した。
「今のナポリは手がつけられない。彼らこそリーグ最強のチームだ」
敵将たちにここまで言わせるのだから、もはやナポリの快進撃は、開幕直後の椿事でもなければ番狂わせでもない。
ナポリっ子の主将インシーニェは、もはや目先の1勝にぬか喜びすることをやめた。
「先は長い。まだ、ずっとずっと道のりは長い。監督は俺たちを練習から楽しませようとしてくれるし、成果も出てる。本当のことをいえば、CL出場権を逃したことは今でも悔しい。ファンの期待が少しずつ高まっているのはわかるよ。だからこそ、地に足をつけてひたすら地道にやっていくんだ」
セリエA戦国時代を象徴するように、伏兵が優勝戦線へ名乗りを上げた。試合ごとに自信を深めるナポリは、ポイントリーダーの座をそうやすやすと手放さないだろう。