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「イチローはなぜドラ1ではなかった?」から考える…2021年ドラフト目玉候補《外野手ベスト3》「巨人・岡本にもなれる」駒大の大砲とは?
posted2021/10/03 11:05
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Sankei Shimbun
イチローは、あれだけのスーパープレイヤーだったのに、なぜ「ドラフト1位」ではなかったのか?
今でも結構な頻度で、人から訊かれるテーマである。
愛工大名電高当時の鈴木一朗選手は、1991年のドラフト会議で、オリックスから「4位」で指名されている。
確かに指名順位は4位だったのだが、「外野手」というカテゴリーでいえば、町田公二郎(広島1位、専修大)、熊澤当緒琉(西武3位、所沢商高)に次いで、3人目の指名だったのだから、1991年では全国3指に入る外野手ということで、間違いなく「逸材」だったのだ。
ドラフトの指名順というのは、必ずしも「実力順」ではない。需要の順番というか、必要順というのか、各球団が、必要とするポジションの選手から指名していくのが実情である。
だから、まず「投手」の優秀なところが指名され、そのあと「内野手」、特に「遊撃手」の逸材となり、「捕手」となり、「外野手」の指名はいちばん後回しになるのがこれまでの通例で、こうした傾向は、野球のメカニズムが劇的に変わらないかぎり、このあとも当分続くものと思われる。
なので、外野手がドラフト1位、2位で指名されるケースは、よほど飛び抜けた能力の外野手が現れた時か、よほど外野手事情が逼迫している場合…ということになる。
というわけで、ここで挙げる3人の外野手も、上位指名とはならないかもしれないが、実力・素質は私の折り紙付きなので、ぜひ、指名と来季以降の活躍を楽しみにしていただければ…と思う。
外野手編(1)三島南高・前田銀治外野手(182cm90kg・右投右打)
高校生外野手では、埼玉昌平高・吉野創士外野手(185cm90kg・右投右打)の全身をしなやかに連動させたスイングからの長打力に、プロの注目が集まっているようだが、好みでいわせてもらえれば、三島南高・前田銀治外野手(182cm90kg・右投右打)を挙げたい。
スマートで品の良さすら感じるプレースタイルの吉野選手が「貴公子」だとしたら、前田選手は「野武士」に例えられようか。
常に100%……いや、120%の出力で振り抜かれるスイングは、背骨も砕けよ!とばかりの猛烈、豪快スイング。それでいて、カンが頼りの「エイ、ヤー」のムチャ振りではなく、しっかり球道を見極めた上でタイミングもしっかり合わせた王道のフルスイングだから、それなりの「精度」もちゃんと兼ね備えている。