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「イチローはなぜドラ1ではなかった?」から考える…2021年ドラフト目玉候補《外野手ベスト3》「巨人・岡本にもなれる」駒大の大砲とは?
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2021/10/03 11:05
ドラフト目玉ベスト3 外野手編(1)三島南高・前田銀治外野手(182cm90kg・右投右打)
この春のセンバツにも「21世紀枠」で出場したので、ご覧になった方も大勢いると思う。鳥取城北高との一戦では、逆方向のライトフェンスに届く三塁打を放ち、投手としてもリリーフのマウンドに立って、まだ春先だというのに、140キロ台を立て続けに投げ込んで、投打に非凡なエンジンのデカさを発揮してみせた。
思いきりのいいスイング……などという陳腐な表現などはるかに超えるほどの振りっぷりは、彼の野球のすべてのパーツに発揮され、汗を飛び散らせながら、懸命にダイヤモンドを巡る馬力抜群のベースランニングも目を奪われるスピードと迫力だ。
手抜きなし、なれ合いなし、徹底的にボールに激しく働きかける体当たりプレーは、見ていて痛快。スカッと胸がすく思いだ。
外野手編(2)駒澤大・鵜飼航丞外野手(183cm100kg・右投右打)
高校生で、「そういう前田銀治」を推したのだから、大学生でも「痛快」な飛距離を秘める和製大砲の卵を推そうか。
駒澤大・鵜飼航丞外野手(182cm100kg・右投右打・中京大中京高)のバッティングが、最後の秋を迎えて、ちょっと変わってきたようだ。
鵜飼のホームランといえば、左方向に高々と上がって「レフトフライかなぁ、上がり過ぎたかなぁ……」と思ったのが、やっと落ちてきたら、レフトスタンドだった……そんな感じの雄大な放物線だった。
それが、この秋のリーグ戦初戦・中央大戦のことだ。
センター・バックスクリーンをライナー性の打球で直撃するホームランに驚いた。
まっすぐだが、足元のボール……難しいコースだった。今までの巻き込むようなスイングで引っ張りにいってたら、せいぜい三塁側のファールにしかなっていないボール。それが、センター方向へぐんぐん伸びて、バックスクリーン直撃なのだから、間違いなくバッティングの「意識」が変わっているはずだ。
センターから右中間方向への意識。これを待っていた。底抜けのパワーの持ち主が、ボールの内側を強烈にひっぱたく感覚、つまりインサイドアウトのスイング軌道を意識し始めたら、鬼に金棒。「岡本和真」にもなれる。
100kgあっても、50m6秒そこそこで駆け抜ける運動能力の高さと、全身の強靭なバネ。肩も決して弱くない。その気で練習すれば、守りもまだまだ上手くなる。
この秋のスイングスタイルを維持できれば、右の大物打ちが心もとない今のプロ球界だ。「上位」だって、十分にある。