“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER

《10年前のドラフト考察》菅野の入団拒否、広島3連覇への契機、パで目立つ“3位以下”の頑張り…成功した球団は? 

text by

小関順二

小関順二Junji Koseki

PROFILE

photograph byKYODO

posted2021/10/01 17:04

《10年前のドラフト考察》菅野の入団拒否、広島3連覇への契機、パで目立つ“3位以下”の頑張り…成功した球団は?<Number Web> photograph by KYODO

日本ハムに1位指名され、記者会見に臨む菅野智之(当時、東海大)

 11年ドラフトで1位の成功例を挙げると、2020年まで10年間で日本一を7度も手にしているソフトバンクだ。1位武田翔太が現在までに通算63勝(以下、すべて9月15日時点)を挙げ、強力投手陣の一翼を担っている。09年に今宮健太(内野手・明豊高)、10年に山下斐紹(捕手・習志野高、現中日)を1位指名しているが、武田もまた宮崎日大高出身の“高卒選手”である。目先よりも3~5年先を見る中・長期的な戦略は、他球団との大きな違いと言っていいだろう。

 下位で指名した社会人投手を一流に仕立て上げるのもソフトバンクの持ち味だ。06年の大学生&社会人ドラフト4巡・森福允彦(シダックス)、08年5位・攝津正(JR東日本東北)に次いで、この11年は5位に嘉弥真新也を指名して、勝利の方程式に組み込んでいる。

◆福岡ソフトバンクホークス(11年ドラフト)
1位 武田翔太・投手/宮崎日大高
2位 吉本祥二・投手/足立学園高
3位 塚田正義・内野手/白鴎大
4位 白根尚貴・内野手/開星高
5位 嘉弥真新也・投手/JX-ENEOS
育1位 釜元豪・外野手/西陵高
育2位 亀澤恭平・内野手/四国IL・香川
育3位 三浦翔太・投手/岩手大
育4位 清水貴之・投手/BCリーグ・群馬
育5位 新崎慎弥・内野手/日本文理大
育6位 笹沼明広・捕手/全足利クラブ
育7位 飯田一弥・捕手/四国IL・高知

 西武1位十亀剣も武田らと並び、この年の成功選手に挙げられる存在だ。通算53勝を積み上げ、新人年の12年と今季はリリーフ投手として投げている。チームの台所事情によっては先発でもリリーフでも投げるというのは監督にとって有難い存在だ。しかし、それ以外は少し物足りなさを感じる指名となった。12年、13年といずれも2位で終わっており、ドラフトで戦力の上積みができていれば優勝も夢ではなかったかもしれない。

◆埼玉西武ライオンズ(11年ドラフト)
1位 十亀剣・投手/JR東日本
2位 小石博孝・投手/NTT東日本
3位 駒月仁人・捕手/塔南高
4位 永江恭平・内野手/海星高
5位 田代将太郎・外野手/八戸大
育1位 藤澤亨明・捕手/松本大

【次ページ】 広島3連覇の基礎を作ったドラフト

BACK 1 2 3 4 5 NEXT
菅野智之
野村祐輔
菊池涼介
益田直也

プロ野球の前後の記事

ページトップ