欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「夢を見るな。現実を目でしっかりと見続けろ」フライブルクの監督が“タイトルとは無縁”でも11年もクビにならないワケ
posted2021/09/30 17:03
text by
中野吉之伴Kichinosuke Nakano
photograph by
Getty Images
プロサッカークラブの監督は、成績が悪くなるとすぐに飛ばされる。どれだけ首脳陣が信頼を口にしていても、連敗が続くと「状況が変わった」といって監督交代のニュースが流れてくる。
そんななかフライブルクは、監督人事の動きが極めて少ないクラブとして知られている。1993年に初めてブンデスリーガ1部に昇格し、28年をかけた今年2月にブンデスリーガ700試合を達成したのだが、その間に在籍していた監督は、わずかに4人なのだ。
ちなみに、700試合を達成しているクラブは全部で21ある。例えばバイエルンは7人、ブレーメンは12人、シュツットガルトは14人の監督で700試合に到達している。一番多く監督を交代しているのはニュルンベルクで、実に25人だ。
目標は「国内ベスト20のクラブでい続けること」
リーグ歴代最長監督記録を持つフォルカー・フィンケの16年は異次元と思われていたが、現監督のクリスティアン・シュトライヒも在籍11シーズン目を迎えている。
2011年の夏から指揮を執ったマルクス・ゾルク(現ドイツ代表アシスタントコーチ)は6カ月と短命だったが、もう1人のロビン・ドゥットは5シーズンとこちらもかなり長い。直近ブンデスリーガ監督での在籍期間2位が、元ブレーメンのフロリアン・コーフェルト監督による4シーズンなので、フライブルクの長期政権が際立っている。
フライブルクはタイトル争いをするクラブではない。チャンピオンズリーグも遠い世界の話だ。昨シーズンはヨーロッパリーグ出場権を獲得できるチャンスもあったが、クラブとして目標を欧州カップ戦出場に設定したりはしていない。
「国内ベスト20のクラブでい続けること」
1部リーグで戦い続けることが、何よりの使命だ。うまくいかずに2部に落ちることがあっても、翌年2位以内に入り即昇格が狙えるクラブであり続けること。それこそがクラブがかたくなに守っている目標なのだ。