持ち前の明るい性格からそのキャラクターを前面に出すことに抵抗はなく、自分も何かが変わるのではと考えた。大仲の声は少し低めで、声量を大きくするとさらに重低音のように辺り一帯に響き渡る。

　だが、それがかえってインパクトが強かったのか、徐々に上級生から存在を覚えてもらえるようになった。

「反応してくれた黒川さんや細川（凌平・日本ハム）さんが、自分に守備などでアドバイスをしてくれるようになって……。それに、1年生って（上級生に気を遣って）部室の冷蔵庫に飲み物とか安易に置けないじゃないですか。でも、練習後に黒川さんから“お疲れ！”って、冷蔵庫に冷やしていたスポーツドリンクを手渡しでもらったんです。持って帰って、嬉しさのあまりしばらく飲まずに家の冷蔵庫に入れていましたね」

　それから智弁和歌山のグラウンドには大仲の声が響くことが“恒例”になった。中谷仁監督が「大仲のあの声は勇気が出ますね。たまに“もうええんちゃうか”っていうくらい大声を出している時もありますよ」と苦笑いを浮かべたこともあった。

甲子園での溌剌としたプレーが印象的だった大仲（左）©︎Hideki Sugiyama

小園に対しては「“来い！”っていう感じ」

　公式戦初出場は1年の秋。2年秋から二塁手のレギュラーとなった。

　入学した時から、同級生に県下のライバル・市和歌山に小園がいることは、もちろん認識していた。昨秋の県大会準決勝では11安打4点を奪いながら4－5で敗れ、近畿大会準々決勝では4安打完封とライバルに連敗。小園に黒星をつけられなかったが、大仲は県大会準決勝では4打数2安打1打点をマークした。

　実は以前から大仲は小園に対して苦手意識はあまりなかったという。

「正直なところ、僕は身長の高いピッチャーが得意なんです。角度のあるストレートが好きで、中学時代から長身のピッチャーからはヒットを打っていた方でした。ボールが視界に入ってくるときに、自然とバットが出て、振り遅れることもなかったです。むしろ、小園君との対戦は“来い！”っていう感じでした」

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