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「本当しんどかったですもん、練習(笑)」ボクシング入江聖奈が明かした競技引退宣言の本音…中学時代にお母さんからもらった手紙とは?
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2021/09/16 11:02
女子ボクシング界に初めて金メダルをもたらした入江聖奈(日体大3年)。押し出すことを意識して磨いた左ジャブをカメラに向けて披露した
――今後の目標について。競技は大学生まで、ということに関してはいろんな場面で聞かれると思いますが、何かコメントは考えていますか?(笑)
考えないといけないですねえ(笑)。でもやっぱり大学で区切りをつけないと、第2の人生を考えたときに、自分としてはその入り方が難しくなっちゃう気がしていて……。それに社会人になるきっかけがつかみづらくなるかなと。パリを目指したとして、終わった時はもう23歳。そこで就職しますとなっても、企業としてもそんなに欲しい人材にならないかなと思うんです。
――ゲーム会社に就職したいという話もありました。たとえば就職した企業から「仕事をしながら競技を続けてください」と言われたらどうします?
私は器用な人間じゃないので、仕事をやるなら仕事に集中したいですし、ボクシングだったらボクシングのことだけを考えていたい。同時進行ができないんです。だから、そのありがたすぎる話はお断りすると思います(笑)。
――会見でも「一番最高の結果が出て、それで終わりにするのがよくないですか」と言っていましたね。
有終の美がいいんですよねえ(笑)。それに、夢はもう叶えられたので。今はゲームを作ってみたいという気持ちがありますし、大好きなカエルのことももっと知りたい。まだ大きな夢を描けていませんが、やりたいことがいっぱいあるんです。パリ五輪を目指してという声もありがたいですが、やりたいことにチャレンジしたい気持ちが強いです。
それに、こんなこと話していますが、パリ五輪に出られる保証なんてどこにもないですから。予選で負けたら、東京五輪の金という実績がかすんじゃう(笑)。自分の中で「やりきったー!」で終わりたいというのが率直な思いです。
――今回より良い結果、となれば連覇しかないわけですからね。それこそ、レジェンドたちの仲間入りができるかもしれませんけど(笑)
確かに連覇できたらそれはめちゃくちゃかっこいいことだと思います。男子含めて日本人史上初のことですから。うーん、でもあと3年は頑張れない。遊ぶことは我慢できるんですけど、練習がしんどいので、また追い込まれると思うとゾッとします。本当しんどかったですもん、練習(笑)。しっかりボクシングをやり切って、そしてまた夢を見つけられたらいいなと思っています。
――入江選手らしいですね。今日はありとうございました。次の目標が決まったらまたお話を聞かせてください。
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