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「本当しんどかったですもん、練習(笑)」ボクシング入江聖奈が明かした競技引退宣言の本音…中学時代にお母さんからもらった手紙とは?
posted2021/09/16 11:02
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph by
Kiichi Matsumoto
――オリンピックが終わって1カ月ぐらい経ちました。心境の変化などはありますか?
うーん、とくに変わらなくて。あんまり金メダルを獲った実感もなければ、まだ自分が金メダリストとは思えないんですよ。なんでしょうねえ、なんか「メダルを持ってるな」っていうだけで。
――この1カ月でいろんな人から祝福され、さまざまな取材も受けたと思いますが、それでも実感は湧かない?
自分の中で金メダリストと言ったら、内村航平さんとかレジェンドの人たちが思い浮かぶ。そういう方たちとは(自分は)絶対に一緒じゃないので。だってオーラも違いますし、何かが根本的に違う……うん、やっぱり思えないですね(笑)。
――でも、女子ボクシング界で史上初めての金メダル。大偉業ですよ?
それはいっぱい言われます(笑)。確かに初めてなのはすごく光栄ですし、自分もうれしいんですけど、でもたまたま最初が自分の番だっただけで、自分が獲ってなかったらたぶん他の人が獲っていたと思う。だからオマケみたいな感じですかね。
――オマケ?
ちっちゃい頃からの夢だった「金メダルを獲る」ということに、ただ「初めて」が付いてきてくれただけで。そこまで特別な思いはないです、嬉しいですけど(笑)。
準々決勝が「一番緊張した」
――大会中、リングサイドで試合を観させてもらいました。入場時は関係者の皆さんの声に応えるなど、すごく冷静な選手だなと感じていました。
そうですね。めちゃくちゃアガることはなかったですし、いい精神状態で(試合を)迎えられたのかなと思います。でも、メダル確定が懸かっていた準々決勝は今までで一番緊張した試合でした。
――勝利した後は涙を流していましたね。覚えていますか?
覚えています、何か勝手に涙が出てきちゃって。リングを降りるときにセコンドから「何で泣いてんだよ。まだ通過点だよ」と言われてから頑張って笑うようにしていました。