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東京五輪を前に人生初の骨折「しゃあないなぁ」西武浮上のカギを握る外崎修汰に期待したい“予想外の一発”
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph bySankei Shimbun
posted2021/09/14 11:02
シーズン序盤のアクシデントもあったが、徐々に復調の兆しを見せる外崎修汰。チーム浮上の鍵を握っている
そんな中で監督、コーチから言われたのは「外崎修汰の1番バッターを探して行こう」という言葉だった。
「こうしたほうがチームの勝ちにつながりやすいんじゃないかというバッティングを重視しようと言われました。もちろん、できるだけボールを見ては行きたいんですけど、いいピッチャーとなると、その1つのストライクを打ちにいくか、見逃すかが勝負の分かれ目になる。だから状況に応じて変化はしますけど、基本的には初球から打っていくつもりで打席に向かいます。試合前にはゲンも『トノ(外崎)の好きなように打って』と声をかけてくれますから」
8月26日からはチーム事情によりクリーンアップに戻ったが「これが外崎修汰のバッティングスタイルだ」という軸を確立することが、今のチームに求められていることに変わりはない。
シーズン序盤でのアクシデント
そもそも主力打者として期待されていた今シーズンの外崎は、アクシデントによって出鼻をくじかれた。4月3日、ペイペイドームでのソフトバンク戦。左足首にデッドボールを受けてそのまま退場することとなる。左腓骨の骨折と診断され6日に手術、当初は全治未定の重症だった。
外崎は振り返る。
「手術した直後は日常生活に戻るためのリハビリをして、その後、上半身の筋トレから練習を再開しました。打撃練習ができるようになったのが手術から1カ月半後くらいでした」
リハビリ中のもどかしさとはどう闘っていたのだろうか。
「術後1カ月くらいまでは、1日1日回復しているのが自分でもわかるくらいの手応えがあったんですけど、そこからが長くて……。それがつらかったですね。練習ができないほどの痛みじゃないんですけど、ずっと違和感が残っている感じでした。6割の力でプレーすると、痛いけどできる。でも7~8割の力で練習したら、悪化しそうな不安といいますか……。そんな感じがしばらく続きました」
再び痛みがぶり返すのではないかという怖さもあった。
「もし痛みが再発したら、それまでのリハビリが無駄になってしまいます。振り出しに戻るとまではいかなくても、リハビリの期間が延びてしまうんじゃないかという怖さは常にありました」