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「このままでは資金がショートする」初優勝の裏で、千葉ジェッツ社長が明かした“リアルな経営状況”と本音…目指すべき「市民球団」とは?
posted2021/09/14 17:01
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ミムラユウスケYusuke Mimura
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©CHIBA JETS FUNABASHI/PHOTO:AtsushiSasaki
すぐには成果が見えづらくとも、100年続く未来へ向けた改革を進めていく。
昨シーズン、Bリーグ王者となった千葉ジェッツふなばしが取り組んできたのはそういうことだった。決算を経て、IR情報を公開したばかりの千葉ジェッツふなばし・田村征也社長に話を聞いた。
2020年は危機的状況だった
このままでは資金がショートしてしまう――。
2020年12月、田村は背筋が凍るような思いだった。平時であれば1試合で5000人を超える観客を集めるジェッツだが、企業の規模としては中小企業だ。資金がショートすれば、給料が払えなくなる。社員の困る顔もリアルに想像できた。何より、多くのファンやブースター、船橋市を中心とした千葉の人たち、多くのスポンサーの想いを背負っているのがジェッツなのだ。そんな事態は許されない。
銀行から資金を借り入れるのか。あるいは、グループ会社で、親会社的な立ち位置であるミクシィに資金注入を要請するのか。
お金を借りるのは、借金を増やすということ。多くの企業と同じようにコロナ禍ですでに少なくない額の借り入れをしているわけで、借金がさらに増えれば返済に追われることになる。自転車操業を加速させてしまう。
だから、ミクシィに依頼した。ジェッツと、そこにかかわる全ての人たちへのさらなる投資をお願いしたわけだ。それによって最悪の事態は回避された。
今期の決算はその影響もあって、数字上は黒字になっている。しかし、基本的に過去の借金を返したり、試合や会社運営のために必要な資金を得たに過ぎない。ジェッツの金庫にお金が増えたわけではないのだ。
チケット収入は約1億5000万円減少
コロナ禍でもっとも打撃を受けたのは、観客動員だった。試合開催時には座席数の半分程度まで入場者数をしぼらないといけない入場制限があった。「座席数の半分」というのがポイントだ。ジェッツは、立ち見席を多く設けることで新規のファンを獲得してきた。そうした甲斐があって、Bリーグ開幕から4シーズンにわたり、最多の観客を集められていた。ただ、昨シーズンから適用されたルールにそったことで、1試合あたりの平均動員数には以下のような変化があった。