Number Web MoreBACK NUMBER
「37歳、40歳でも今がベストだと」 国枝慎吾、“2019年グランドスラム未勝利”から復活できた理由〈2大会ぶり金メダル〉
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph byNaoya Sanuki
posted2021/09/05 17:01
パラリンピックで2大会ぶり金メダルを獲得した国枝慎吾
「37歳、40歳でも今がベストだと」
しかし百戦錬磨の王者は、ライバルたちの手強さも知っている。
「僕自身、冬の間(オフシーズン)にレベルアップしたが、ほかの人たちも上がってきているなと思う。結構、差をつけたかなと思いきや、しっかりついてきているなという感じだ。もちろん抜けたいし、ちょっと抜けたかなとは思ったが、まだライバルたちがついてくるので気を抜けない。パラリンピックまでの間にもう1段階、2段階、レベルアップしないと」
ライバルたちの潜在能力は高く、短期間に勢力図が塗り替えられることもあると覚悟している。だからこそ、現状に満足せず、鍛錬を続けるのだ。
全豪の優勝会見で、国枝はこう語っている。
「年々、自分のテニスがよくなっているのを確信している。37歳になっても40歳になっても今がベストだと言えるように、努力を欠かさずにやっていきたい」
こんな言葉から読み取れるのは彼の自信とプライド、そして自己抑制の厳しさ、すなわち、彼が持つチャンピオンのマインドである。