濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
<スターダム>「心の闇を全部刻み込む」悲願の王座奪取、スターライト・キッドが“涙なし”のワケ…リーグ初戦、彩羽匠のオーラもすごかった
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2021/09/04 11:00
ハイスピード選手権でなつぽいに勝利し戴冠を果たしたスターライト・キッド。
マーベラスのエース彩羽匠参戦でリーグ戦も加速
この大会ではフューチャー・オブ・スターダムのタイトルマッチも組まれた。ウナギ・サヤカが吏南を下し、8月13日に続いて2度目の防衛に成功。リーグ戦の期間に2度の防衛である。その分だけウナギは力をつけ、その力はリーグ戦にも還元されるだろう。
長与千種率いるマーベラスのエース、長期欠場から復帰した彩羽匠のリーグ初戦も汐留大会。舞華に長与直伝の必殺技ランニングスリーで勝利している。動きのキレ、醸し出すオーラなどあらゆる面で圧倒的に見えたが、本人によると決して楽勝ではなかったそうだ。余裕を見せて一発一発が重い舞華の攻撃を受け止めるのではなく、技を出させないことにポイントを置いていた。
「今回は初戦なので、絶対に勝たないとかっこつかないので。相手の良さを引き出すとかじゃなく自分の良さだけで(笑)」
彼女は2013年にスターダムでデビューしたのだが、憧れの存在である長与が新団体マーベラスを旗揚げすると移籍。試合後には「マーベラスを背負って結果を残す」というコメントもあった。古巣に戻ってきたというより、他団体から看板を背負って乗り込んできたという感覚なのだ。
「マーベラスのエースをやらせてもらっているので。結果を出す自信がなかったら、下の子(後輩)を出してますよ、経験積ませるために。自分が出るっていうことの意味ですよね、そこで分かってもらえるかと」
優勝候補の一角。公式戦はすべてシングル初対決の相手でもある。彩羽が加わって、リーグ戦もさらに加速していく。さらに一昨年12月、団体批判の言葉とともに引退した葉月がリングに登場し復帰を示唆。場内スクリーンでは10月9日の大阪城ホール大会開催もアナウンスされた。アリーナクラスの会場としては、東京の日本武道館とともに最大級、最上級の会場だ。これより“上”となると、もうドームだろう。リーグ戦の決勝が9月25日(大田区総合体育館)だから、わずか2週間のスパンでビッグマッチを連発することになる。スターダムの急流はまだまだ止まらない。それが可能なのは、キッドを筆頭に選手たちが変化し、成長し続けているからだ。
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