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家庭科の先生を辞めてプロレスラーになった娘…父の本音「いつまで続けるんだ」 レディ・Cが直面した世間の壁と批判「やっぱり試合を見てほしいんです」
posted2025/12/07 17:01
家庭科の先生から転身し、今年5周年を迎えたレディ・C
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
女子プロレスラーのレディ・Cは2020年11月にスターダムでデビューし、今年キャリア5周年を迎えた。元は中学・高校の先生で担当は家庭科だったが、すでに教員よりプロレスラーとして過ごした時間のほうが長くなっている。
今の目標は、ゴッデス(タッグ)王座かアーティスト(6人タッグ)王座のチャンピオンベルトを巻くこと。5年間プロレスラーをやってきて、まだタイトルを獲得したことがない。
「壮麗亜美がゴッデスもアーティストも獲ってますし、フューチャー(新人王座)も私は獲れてない。月山和香も(若手主体興行)NEW BLOODのタッグチャンピオンになって。2人は同期なので、やっぱり意識しますね」
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単に同期というだけでなく、壮麗とレディはタッグパートナー、月山はレディが初勝利を挙げた相手だった。自分だけ結果が出ていないと感じてしまうのも当然といえば当然だ。
デビュー当時から話題になった
177cmの長身で、得意技のブーツ(顔面への前蹴り)は16文キックを思わせる。さらにランニング・ネックブリーカー・ドロップ、ジャイアント・バックブリーカーも。“元教師で馬場さんの技を使う177cmの女子レスラー”はデビュー当時から話題になった。新人時代に対戦した岩谷麻優は「1年以内に化けます」とそのポテンシャルを絶賛していた。
だがそれから何年も経って、なぜか大きな結果が出ない。レディがデビューした頃からスターダムにはフリー、他団体の選手たちが大量に参入。一気に層が厚くなったのも理由の一つだろう。団体の知名度が上がると入門希望者も増えるから、後輩の突き上げも激しい。
そういう中でレディは“大きな結果が出せていない”と言える。まだまだ黒星も多い。だが他のあらゆるスポーツ、エンターテインメントと同じように、プロレスも結果や数字だけで判断できるものではない。
定期的に試合を見ていると、結果が出ないのがむしろ不思議なくらいなのだ。チョークスラムに加え、最近は対角線を走ってのランニング式ブーツもフィニッシュ技に加わった。試合ぶりは間違いなくよくなっているし、コミカルな展開もお手のもの。3月のアーティスト、10月のゴッデスと今年2回の王座挑戦も、敗れはしたが内容の濃いものだった。

