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甲子園中止→プロ初球ホームラン! “末恐ろしい”ルーキー来田涼斗、“出場辞退”球児へエール「その先の人生のほうが長い」 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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posted2021/08/28 11:02

甲子園中止→プロ初球ホームラン! “末恐ろしい”ルーキー来田涼斗、“出場辞退”球児へエール「その先の人生のほうが長い」<Number Web> photograph by KYODO

高卒新人としては史上初となる初打席初球ホームランを放ったオリックス来田涼斗

 恩師である明石商の狭間善徳監督は、「のめり込むというか、没頭できる、集中できるからやろうね」と分析する。

「(来田から)よー電話かかってくるんよ」と嬉しそうだ。

「初出場の時も、『ちょっと北海道で、一軍でスタメンで出ます』言うから、『ほんまかぁ?』って。ここまで早く一軍の舞台で、とは思わなかったから、驚きというか、嬉しいですね。来田に限らず、OBが大学やいろんなところで頑張ってるのを聞くと、力をもらうんやけど、来田の場合はやっぱり活躍している姿をみんなが見られるから、明石商業の OBも現役も、すごく力もらってるんちゃうかな」

春も夏も出られなかった甲子園

 来田は昨年、コロナ禍によって目標を奪われた球児の1人だった。

 1年夏から甲子園に出場し、2年は春、夏ともにベスト4入りに貢献。3年春のセンバツでの4季連続甲子園出場も決めており、夏には5季連続出場も、日本一も狙えたはずだった。

 しかし新型コロナウイルス感染拡大の影響で、昨年は春も夏も、甲子園は中止となった。

 懸けていたものが奪われた。それでも来田は前を向いた。

「コロナが広まっていましたので、大会がないということに関しては、もう、仕方がないことでした。だから切り替えて、次の目標、プロに行って活躍するという夢があったので、それに向かって頑張ろうと思いました」

 そしてわずか1年後の今、目標としていた舞台でキラキラと輝きを放つ。

 昨年は長期間チーム練習ができない状態が続いたが、その間、走り込みや、バドミントンのシャトルを打つ“羽根打ち”などにコツコツと取り組んだ。それにより基礎を見直すことができ、今につながっていると、昨年の出来事も前向きに捉えている。

【次ページ】 「その先の人生のほうが長いので」

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