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《金メダル第1号》パラ競泳・鈴木孝幸が目指した“ロナウド級の腹筋”とは? 草なぎ剛との対談で話していた野望
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byTakuya Sugiyama
posted2021/08/26 20:00
東京パラリンピックで金メダルを獲得した鈴木孝幸。1年前に実現した草なぎ剛との対談で本番への抱負を語っていた
来年までにはロナウド級の腹筋に?
草なぎ このクラス分けで、ライバルから離れられてラッキー! みたいなことはあったんですか。
鈴木 ライバルと言えるのは、友人でもあるニュージーランドのキャメロン・レスリー選手なんですが、彼も一緒にクラスが移りました(苦笑)。彼だけ残ってくれればよかったのに。まあ、そういうセコい考えをしていてはダメですけど。
草なぎ 一緒に変わったということは、キャメロン選手の障がいは鈴木選手に近いんだ。
鈴木 四肢欠損というのは同じなんですが、彼は両脚が膝上まであるので義足で歩けるんです。
草なぎ その違いって、泳ぎとも関係するんですか?
鈴木 いろいろありますが、一番は体幹ですね。日常生活で歩行ができると、自然と体幹が鍛えられるんですが、僕にはそれができない。特に違いが出るのは腹筋ですね。ちょっと専門的になってしまいますが、腹筋は泳ぐ時に下半身が沈むのを防いでくれます。ここが強いと、姿勢がより水面とフラットになって、水の抵抗を受けにくくなります。
草なぎ ロスが少ないんだ。
鈴木 もちろん疲れても下半身は沈んでくるので、持久力の問題でもあるんですけど。
草なぎ じゃあ、東京で金メダルを獲るためにはその差を補わないといけない。
鈴木 だから今は「コア」を鍛えることに注力しています。
草なぎ 「コア」?
鈴木 下腹部の方ですね。一般的には脚をあげたりして鍛える部位なんですけど、脚のない僕はチューブを使ったり、工夫しながら。リオ後からはじめて、結果は出てきています。ステイホーム期間もずっと続けてました。
草なぎ 撮影の時に見ましたけど、腹筋すごいですもんね。
鈴木 いや、今は太っちゃって……まだまだです。
草なぎ それでもまだまだ、ですか!
鈴木 今はまだビフォーアフターの「ビフォー」です。目指すのはクリスティアーノ・ロナウドのような腹筋。脚のない僕がそんな腹筋を持っていたら凄いな、と思っているので。
草なぎ じゃあ、来年は鈴木選手の腹筋に注目ですね!
※本連載は日本財団パラリンピックサポートセンターとの共同企画です
鈴木孝幸Takayuki Suzuki
1987年1月23日、静岡県生まれ。先天性の四肢欠損。'04年アテネからパラリンピック4大会連続出場。'13年からは英ノーサンブリア大学を拠点に活動。'19年世界選手権では日本選手団主将を務めた。117cm、45kg。
草なぎ剛Tsuyoshi Kusanagi
1974年、埼玉県出身。YouTuberとしての活動にも力を入れ、チャンネル登録者は100万人超 。愛犬クルミとその子も頻繁に登場。内田英治監督(「全裸監督」など)作の主演映画「ミッドナイトスワン」が'20年秋公開予定。
記事内で紹介できなかった写真が多数ございます。こちらよりぜひご覧ください。