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「もう若くはないんだ」パッキャオがついに引退? 島国の小柄なボクサーが母国の大統領候補に上り詰めるまで
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2021/08/27 11:00
現地8月21日にWBAスーパー王者ヨルデニス・ウガスと対戦したパッキャオだったが…
パッキャオは現時点では大統領選に関しての明言こそ避けたが、そこで語った多くの言葉は出馬の意思を指し示している。
フィリピンの関係者によると、立候補はほとんど規定路線という。だとすれば、やはりボクシングの現役生活はここまでと考えてしかるべきか。ここでまたとてつもなく広大な航海に乗り出すパッキャオに、惜別の拍手を送りたくなる。
しかし――。それでも未来はわからないとも思える。
「選挙戦では完全なアンダードッグ。勝機は薄い」
ボクシングに詳しいファンならご存知の通り、アメリカの選手は自身の商品価値が残っている限りはリングに立ち続けるもの。パッキャオも例外ではなく、2016年4月に“引退試合”と銘打ってティモシー・ブラッドリー(アメリカ)と戦いながら、その試合で2度のダウンを奪って快勝すると、約7カ月後にはすぐに次の試合を行なったこともある。
信じ難いことかもしれないが、大統領選挙に立候補したとして、それがボクサーとしての引退に直結するわけではない。
フィリピン、アメリカの多くのメディア関係者の話を聞く限り、パッキャオが出馬しても「選挙戦では完全なアンダードッグ。勝機は薄い」という見方が一般的という。ボクサーとしての力量ゆえに国民的英雄になったパッキャオにとって、旗色の悪い選挙戦で追い上げるために、ウガス戦の勝利が必須であり、選挙までにそのキャンペーンの一環としてもう1戦をこなすのではないかと予想する者すらいた。
これらの話にどこまで信憑性があるかは意見が分かれるところではある。いずれにしても、そんな話が出てくること自体、大統領選でのパッキャオが厳しい位置にいることを証明しているとも言える。