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「調子どう?」ファンの声掛けに応えたら…ダービー2勝の名ジョッキー大崎昭一を襲った“悲劇の冤罪事件”とは
text by
小川隆行Takayuki Ogawa
photograph byKeiji Ishikawa
posted2021/09/05 11:00
通算970勝を上げた名ジョッキー・大崎昭一
東京2000mはスタート後、すぐに1コーナーとなるためポジション争いが激化しやすく、距離ロスの少ない内枠が有利とされている。3番のメジロパーマーと6番のダイタクヘリオスが先手を主張、これに1番人気の15番トウカイテイオーが続いた。前半1000m通過は57秒5。超のつくハイペースを、2番という絶好のゲートを得たレッツゴーターキンは後方から「自分のペースで」走った。インコースを通ったトウカイテイオーがバテた瞬間、大外から満を持してスパート。これに続いた2着馬ムービースターの鞍上が武豊だったのも、騎手のペース配分がレース結果を左右することを物語っていた。
大舞台で久しぶりに輝いた、ベテランの勝負勘だった。
調教師を目指す息子との縁を切ったワケ
開業11年目で初GⅠを制した橋口師は信頼を強め、ダンスインザダーク・ハーツクライ・ワンアンドオンリーなど有力馬が集まるようになった。一方、大崎は騎乗数も復活したが、GⅠ制覇はこれが最後となった。
騎手引退後、大崎の姿を見かけるのはスポーツ紙などに掲載される予想会社の広告欄だった。JRAにとっては好ましくない仕事であり、それを意識した大崎は、調教師を目指す息子との縁を切った。母方の大竹に姓を変えて競馬社会に身を置いた正博が人生の目標を替えたきっかけこそ、レッツゴーターキンのGⅠ制覇だったという。
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