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「大谷翔平のMVP間違いなし」アメリカでの高評価は成績でも明らか… 投打の進化が分かる四球数と「13.75」のスゴさ 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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posted2021/08/22 11:03

「大谷翔平のMVP間違いなし」アメリカでの高評価は成績でも明らか… 投打の進化が分かる四球数と「13.75」のスゴさ<Number Web> photograph by Getty Images

ここ1カ月は投手としての抜群の安定感が目立つ大谷翔平。シーズンMVP獲得もすでに“確定事項”なのかもしれない

「フライボール革命」においては、三振は「ホームランのコスト」と見なされていてさほど問題視されていないものの、通算145三振はリーグ3位タイだ。このペースでいけば200三振の可能性もある。シーズン200三振はMLBの長い歴史でも延べ13人しか記録していないが、その中に現役選手がクリス・デービスを筆頭に延べ6人もいる。大谷は三振記録でも歴史に名を残すかもしれない。

1番固定で四球対策、実は18盗塁もリーグ4位タイ

 エンゼルスのマドン監督は、8月10日から大谷を「1番」に固定した。これは少しでも多く打席を回すためだ。また初回先頭打者が敬遠で歩かされることは考えられないから、それも含めての措置だと言えよう。

 大谷はリーグ4位タイの18盗塁を記録している。8盗塁死はやや多いが、リードオフマンとしてもリーグ屈指なのだ。

 ただ「1番打者」になったことで、打点王争いではやや不利になったと言える。「1番大谷翔平」は、毎試合1回は無走者で打席に立つのだ。これは機会損失と言っても良い。

 21日時点で、大谷は88打点でリーグ4位。ホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)を3点差で追いかけているものの、今後はやや厳しくなるかもしれない。

近づく本塁打王、そして注目は投手での進化

 ただMLBでは「打点王」は、主要タイトルの一つではあるが「運が左右しやすい指標」としてそれほど重視されていない。打点王は本塁打王の「おまけ」的なものだと思う。

 本塁打王争いをするゲレーロJr.は、4月7本、5月9本、6月10本、7月7本と大谷同様コンスタントに本塁打を打ってきたが、8月はまだ3本。大谷を追い上げる態勢にはなっていない。本塁打数3位のサルバドーレ・ぺレス(ロイヤルズ)は32本で8本差である。

 8月はホセ・アブレイユとハンター・レンフロー(レッドソックス)、ブランドン・ロウ(レイズ)が7本を打ってア・リーグトップだが、ロウは通算29本、アブレイユは25本、レンフローは22本だ。

 こうしてみると大谷翔平の本塁打王は、かなり現実味を帯びてきたと言ってよいだろう。

 それ以上にこのところの「投手・大谷翔平」の進境は目覚ましい。

【次ページ】 投手としては7月以降、明らかに四球が減った

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大谷翔平
ロサンゼルス・エンゼルス

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