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投手・大谷翔平に敵将も白旗「終盤になるとギアを上げる…」40号本塁打に7連勝で《MVP&サイ・ヤング賞候補》の声も
posted2021/08/21 06:00
text by
笹田幸嗣Koji Sasada
photograph by
Getty Images
ついに……。その評価はサイ・ヤング賞にまで及ぶようになった。
8月18日、デトロイトでのタイガース戦。8回を6安打1失点に抑え自身7連勝で今季8勝目を挙げた大谷翔平に対し、エンゼルスのテレビ中継を担当する「バリースポーツ・ウエスト」の実況担当者2人は声を揃えて言った。
「サイ・ヤング賞候補に入るのは疑いの余地がない」
「その意見に私は100%同意する」
試合後、ジョー・マドン監督も言及した。
「サイ・ヤング賞の候補になる。すべての賞で候補になる。三冠王は難しいかもしれないが、他のすべてが候補だ。今夜彼が成し遂げたことで更に注目されることになるだろう」
MVPレースではダントツのトップ評価に
投打同時出場で8回には節目の40号本塁打も放った。この時点で本塁打王争いは2位のウラジミール・ゲレロJr.(ブルージェイズ)に5本差をつけ、ぶっちぎりのトップ。打点ではトップのホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)、ラファエル・ディバース(レッドソックス)を2点差で追う87打点。すでに記者投票で決まるMVPレースではダントツのトップの評価を得ている。加えて、こちらも記者投票にはなるが、サイ・ヤング賞争いにまで加わったと周囲は称える。敵将のA.J.ヒンチ監督も感嘆と敬意を込めて話した。
「負けてしまい本当に悔しい。だがそういうことを抜きにすれば、彼の活躍は野球の素晴らしさを教えてくれるものだ。本当に素晴らしいことだと思う」
躍進の理由はリアル二刀流出場にあり?
開幕から豪快な本塁打で魅了してきた。リアル二刀流、ときには外野守備に就き、ベーブ・ルース以降では誰も成し得ていない領域で非現実的なパフォーマンスを見せてきた。そして、7月以降の投手・大谷の安定感は抜群だ。
6試合に登板し5勝。40イニングを投げ防御率1.575。四球は1試合9回平均で0.9個。37奪三振は同じく8.33。もちろんすべてがクオリティー・スタート(6回、3自責点以下)であり、平均投球回数は6回2/3に伸び、メジャーで65%を越えればエリートとされるストライク率も68%を上回った。打者同様に投手でも他を圧倒する活躍はサイ・ヤング賞候補にふさわしい。